投稿日:2021.12.25
知覚過敏とは?歯がしみる原因や治療方法を紹介
こんにちは。博多矯正歯科KITTE博多院です。
いつも当医院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
冷たいものや熱いものを摂取した際に、歯が「キーン」と痛む経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。この現象のことを知覚過敏(ちかくかびん)と言います。今回は知覚過敏について、原因や治療方法など含めてお話ししていきたいと思います。実際に患者様からも知覚過敏について相談されることもありますので、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
目次
知覚過敏とは?
知覚過敏は、歯に刺激が伝わると痛みを感じる状態のことです。3人に1人が知覚過敏を経験していると言われており、冷たい・熱い・甘い・酸っぱいといった飲食物を摂取したときや、歯ブラシをあてたときに痛みが現れます。
歯が痛むことから虫歯だと思われることもありますが、虫歯は歯のエナメル質や象牙質が溶けたことによるものであるのに対し、知覚過敏は象牙質が露出することが原因です。
また、知覚過敏の痛みは一過性という特徴があり、虫歯とでは原因や対処法が異なります。
知覚過敏で歯がしみる理由
歯の構造は「エナメル質」「象牙質」「歯の神経」の3層からなります。エナメル質は人体の中で最も硬い組織の一つであり、歯を物理的なダメージから守る役割があります。
象牙質はエナメル質を支える役割があり、「象牙細管(ぞうげさいかん)」と呼ばれる神経につながる小さな穴が開いています。
通常、健康な歯は根元部分が歯ぐきに覆われているため、外部から刺激を受けても知覚過敏の症状は出ません。しかし、歯ぎしりや力強いブラッシング、加齢に伴う変化によってエナメル質が摩耗したり歯ぐきが下がったりすると、象牙質がむき出しになります。象牙細管を通じて神経に直接刺激が伝わりやすくなりため、痛みが生じてしまうのです。
知覚過敏の原因
知覚過敏はエナメル質の摩耗や歯ぐきが下がることで生じます。ここでは、知覚過敏を引き起こす主な原因を4つ紹介します。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしり・食いしばりは、歯に強い力が加わり、エナメル質が欠けたり亀裂が入ったりすることがあります。長期間によって行われると歯ぐきが下がり、象牙質がむき出しになることも。その状態で歯ぎしりや食いしばりが続くと、歯の根元部分に「くさび状欠損」と呼ばれる欠損が生じることがあります。
歯ぎしり・食いしばりは無意識に行われていることが多いため、自分ではほとんど気づきません。頬側の奥歯の根元が欠けていたり、朝起きたときにあごの痛みを感じたりする場合は、歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があります。
力強いブラッシング
毎日の歯磨きは重要ですが、方法には注意が必要です。力を入れてゴシゴシと磨くようなブラッシングは、歯ぐきの後退やエナメル質に傷をつける原因となります。
歯ぐきが下がると象牙質が露出し、知覚過敏のリスクが高まります。また、エナメル質に傷がつくと、その部分から細菌が侵入しやすくなり、虫歯の原因となることも。やわらかいブラシを選び、やさしく磨くように心掛けましょう。
歯周病
歯周病は、歯垢が溜まることによって歯ぐきに炎症が起きる病気のことです。進行すると歯を支える骨が溶けて、歯ぐきが下がる原因となります。
歯周病の初期段階は自覚症状がないため、ほとんどの方が気づきません。そのため、気づいたときにはかなり進行していたということも多いです。30歳以上の3人に2人は歯周病になっていると言われているため、症状がなくても定期的に歯科医院へ受診することをおすすめします。初期段階であれば、適切なケアによって症状の改善や進行の防止が期待できます。
加齢
歯ぐきの主な成分はコラーゲンで、強度と弾力を維持するための役割があります。しかし、年齢とともに体内のコラーゲンは減少するため、歯ぐきの弾力が失われ、下がって象牙質が露出しやすくなります。知覚過敏のような症状が発生しやすくなるほかに、歯周病のリスクも高まるため注意が必要です。
矯正中は知覚過敏が起こりやすい?
矯正中は上記で挙げた原因とは異なる理由で知覚過敏の症状が起こることがあります。
特に治療開始直後は歯が大きく動きます。治療前に隠れていた歯面が急激に露出することで刺激となり、知覚過敏が起こることがあります。
症状は一過性であるため過度な心配は必要ありませんが、風があたるだけでしみることも。矯正中に知覚過敏が発生した場合は、歯科医師に相談し、適切な対処をしてもらうと安心して治療を進められます。
歯科医院で行う知覚過敏の治療方法
ここでは、歯科医院で行われる知覚過敏の治療法を7つ紹介します。
シミ止めの塗布
まず選択されるのがシミ止めの塗布です。露出した象牙質は、象牙細管という神経につながる穴が開いており、そこを塞ぐことで外部からの刺激を伝わりにくくします。
シミ止めにはさまざまな種類があり、状態によって使い分けるのが一般的です。ただし、歯磨きなどでシミ止めの効果が弱まるため、定期的に塗布する必要があります。
詰め物
歯の根元が欠けるくさび状欠損の場合は、歯の表面を一層削ってプラスチックの詰め物をすることがあります。ただし、詰め物をすると段差ができ、汚れが溜まりやすくなります。詰め物をした箇所は、日頃から丁寧なケアが必要です。
歯周病治療
歯周病で歯ぐきが下がっている場合は、歯周病治療が必要です。歯の表面に付着した歯石や歯垢の除去はもちろんのこと、歯ぐきの下に付着した歯石も取り除きます。お口の中の状態によって異なりますが、複数回の通院が必要です。
フッ素塗布
フッ素には歯質を強化する作用があります。虫歯予防だけでなく、知覚過敏を抑える効果が期待できるので、クリーニングを受けた際はフッ素も塗布してもらうようにしましょう。
噛み合わせの調整
噛み合わせが高く、歯に過度な負担がかかっている場合は、調整することで症状が落ち着く場合もあります。
ナイトガードの作製
ナイトガードとは、就寝時に装着するマウスピースのことです。歯ぎしり・食いしばりによる歯のダメージを軽減できます。
ただ、ナイトガードを装着しただけでは、歯ぎしり・食いしばりが止まるわけではありません。日頃からやめるように意識することも大切です。
神経の除去
知覚過敏の症状がひどく、日常生活に支障をきたしている場合は、神経を取り除く処置を行うことがあります。
ただし、1度とってしまった神経は元に戻ることはありません。そのため、知覚過敏で神経を取り除くのは最終手段になります。
自宅で行える知覚過敏の対処法
知覚過敏用の歯磨き粉を使用することで症状が抑えられる場合もあります。ドラッグストアで販売されている知覚過敏用の歯磨き粉には「硝酸カリウム」「乳酸アルミニウム」という成分が含まれています。
これらの成分は、継続的に使用することで象牙細管の入り口に作用し、知覚過敏を軽減します。ドラッグストアで手軽に購入できるので、歯磨きを選ぶ際は成分表をのぞいてみてくださいね。
まとめ
知覚過敏が起こる原因は、歯ぎしり・食いしばり、不適切なブラッシング、歯周病、矯正治療などさまざまです。症状が進行し、日常生活に影響を及ぼすと神経の治療が必要になります。「知覚過敏かな?」と思ったら歯科医院に受診することをおすすめします。
また、当院では矯正中に知覚過敏が生じた場合は、シミ止めの薬を塗ることもできますので、お気軽にご相談ください。