投稿日:2022.3.4
酸蝕歯
皆さん、コーラばかり飲んでると歯が溶けると言われたことはありませんか?
この言葉…冗談ではないんです!
実際に歯が溶ける事なんてあるの?と疑問に思われた方もいらっしゃると思いますが、実は毎日のお食事によって歯が「溶ける」ことは当たり前におきています。
上記の様に酸によって歯が溶けることを「酸蝕症」といいます。
酸蝕歯の原因
歯が溶ける原因は、㏗の数値が低い食品を摂取する事にあります。
正確にはPH5.5%以下の酸性度の高いもので、例えばコーラなどの炭酸飲料・レモンやグレープフルーツなどの柑橘類・清涼飲料水などです。
上記は何となく酸性のイメージがしやすいかと思いますが、酸性の飲み物の中には飲むヨーグルトやヤクルト、乳幼児向けの飲料もあるので自分では気付かないで摂取してしまう事が多いです。
しかし、酸性の食品だから食べてはダメという事はありません。
きちんとした食生活と歯磨きでこれまで通り食事を楽しんで頂けますのでご安心ください!
↑酸蝕歯により歯が透けている状態
歯の構造は、表面からエナメル質、象牙質、歯髄の三層構造になっています。
エナメル質は体の中で最も硬い組織で、象牙質はエナメル質よりも柔らかくこの部分が虫歯になると広がりやすいです。そして、一番内側に血管や神経が通っている歯髄があります。
酸蝕が進むとエナメル質が溶けて象牙質が露出します。
この象牙質はエナメル質よりも酸に弱いので一気に酸蝕症が加速します。
また、虫歯のリスクも上がることに加え、象牙質は痛みを感じますので知覚過敏の原因ともなります。
脱灰と再石灰化
ここで「脱灰」と「再石灰化」についてお話いたします。
「脱灰」は酸によってエナメル質からリンやカルシウムが溶けだしてしまうことで、
「再石灰化」は唾液のもつ酸を中和する働きによってリンやカルシウムがエナメル質に戻ることです。
私たちの口腔内は食事後、この脱灰と再石灰化を繰り返し、そのバランスが保たれることで歯が守られています。
しかし、お菓子をだらだら食べたり、1日中コーラを飲んだりなど脱灰が起きている状態を長引かせることで再石灰化が行う機会を失います。
このようにバランスが脱灰に傾き続けると歯が溶けるという現象が起きてしまいます。
酸蝕歯の予防
酸蝕症を防ぐにはまず、酸性飲食物を「だらだら」食べたり飲んだりしない事が重要です。
また、就寝中は唾液分泌が少ないのでpHが戻りにくく、特にいびきをかく癖があると口が乾き酸性溶液が残りやすくなりますので寝る前に酸性飲食物を食べたり飲んだりしないようにしましょう。
食後30分は口腔内が酸性に傾いているので、エナメル質が柔らかくなっておりブラッシングすると歯が余計に削れます。
どうしてもすぐに歯磨きをしたい場合は、水でうがいをして口腔内を中性にしてからブラッシングするようにしましょう。
また、直接関係が無さそうな摂食障害や逆流性食道炎も酸蝕症の原因となります。
胃液は酸性の胃粘液で飲食物を消化しますので、胃液が上がると口腔内は当然酸性になります。
このような時もまずはお水でうがいをしてお口を中性に戻すようにしてください。
食事の仕方に気を付けて予防することが大事ですが、歯磨剤に含まれているフッ素には再石灰化を促してエナメル質を強化するという働きがありますので虫歯の予防と共に酸蝕症の予防にも有効です。
高濃度フッ素配合の歯磨剤やフッ素入り洗口剤を使用し、食事を楽しみながら予防することを心がけましょう。