投稿日：2023.8.29

歯科矯正後に装着が必要となる保定装置とは？

博多矯正歯科・歯科衛生士の山田です。
本日は「歯科矯正後に装着が必要となる保定装置とは？」についてお話をさせていただきます。

保定装置とは

みなさん、保定装置＝リテーナーはご存知ですか？
保定装置とは歯列矯正後に歯を固定するものになっています。
「なぜ歯を固定する必要があるのか？」と疑問に思いましたよね。まず矯正治療で歯が動く仕組みを説明します。

保定装置が必要な理由

歯が動く仕組み

歯と歯槽骨の間には歯根膜といわれるものが覆われています。成分としてはコラーゲン繊維が半分を占めます。
あまり知られていませんが歯根膜はとても重要な役割を担っています。
歯に矯正で力を加えると歯根に圧迫された方の骨がなくなります。このことを「吸収」といいます。
そして、反対の方に隙間ができその隙間に新しい骨が作られます。このことを「再生」といいます。
「吸収」と「再生」を繰り返して歯が移動するのが矯正治療で歯が動く仕組みです。
骨が「吸収」され「再生」されるのを待つので（骨を作り替える）歯をゆっくり動かすので時間がかかります。
歯が動くスピードは一ヶ月に0.5〜1mm程度になります。ですので、来院頻度は一ヶ月に一回となっています。
矯正期間は抜歯有・無で期間が変わりますが2年〜3年程になります。
歯が動く仕組みのイメージは出来たでしょうか？

歯の動き方の種類

歯の動き方には種類があります。

 

1. 歯体移動（水平移動）→文字の通り歯を水平に移動させます。矯正治療で最もよくある動きになります。
2. 傾斜移動→歯軸が傾斜する事をいいます。
3. 艇出→歯が歯槽内から伸び出てくることをいいます。この時に歯根膜は牽引（引っ張られる）ます。
4. 回転→歯の真ん中の軸を中心とし歯が回転することをいいます。回転する力を加えて歯を正しい位置に並べます。
5. トルク→歯根の回転のことをいいます。この場合は歯根の部分以外はあまり動かしません。
6. 圧化→歯が歯槽内に入っていくことをいいます。

 

上記のように歯を動かす種類があり、ただ歯を動かしているわけではありません。
歯を動かし終わった後は「吸収」と「再生」が続いて歯が動きやすい状態になっています。

結論

歯根膜はゴムのように戻ろうとする力があるので、矯正装置を外した後に保定装置＝マウスピースをしっかりと使用しなかった場合、歯が治療前の並びに戻ってしまいます。
ですので、歯科矯正後に保定装置・マウスピース等を装着し歯を固定させる必要があります。

保定装置の種類

当院では主に保定装置にマウスピースを使用しています。

保定装置には種類がいくつかあります。

1. 当院で使用しているマウスピース型のもの（リテーナー）
2. 歯の裏側に部分的にワイヤーを接着剤で貼り付けるもの（fix、フィックス）
3. 歯全体をワイヤーで囲むもの（ベッグタイプ）
4. 前歯の部分をワイヤーで囲むもの（ホーレータイプ）

医院によって使用する保定装置の種類が異なりますので気になる場合はカウンセリングの際に聞かれてみて下さい。

注意点

保定装置についての注意点をお話ししていきます。
医院によって異なりますが、当院での保定装置使用時間は歯を動かした期間＋半年は20時間以上の使用をお願いしています。
その期間が過ぎるとお昼のみ、就寝時のみに変更していただき違和感や痛みが出た場合には長めに使用をお願いしています。
この期間にしっかりと使用をしていただかないと歯が後戻りしてしまいます。
期間中に保定装置を使用せず後戻りしてしまった場合は再治療費がかかりますのでご注意ください。
保定装置のお掃除方法は歯ブラシで磨く（研磨剤無し）、保定装置専用の洗浄剤を使用する等になります。
マウスピース型の保定装置はプラスチック製になりますのでお湯は保定装置が変形してしまう可能性がございますので、洗浄する場合はお水又はぬるま湯でお願いします。
みなさんいかがでしたか？
矯正後はしっかりと保定装置を使用しキレイな歯並びを維持していきましょう！