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投稿日:2024.3.25

正中(前歯の真ん中)がずれている!これって治せるの?

こんにちは!博多矯正歯科です。
皆さんは『正中』を意識したことはありますか?正中というのは上下の歯の真ん中、もしくは顔の中心である鼻中隔(鼻の穴と穴の間)を指標とした顔面正中のことを指します。
歯並びに起因した正中のずれは歯列矯正での改善が可能です!
しかし顎の骨が左右非対称であったり、大きさが異なるといった骨格が原因の場合は歯列矯正だけで改善するのは困難といえるでしょう。

正中はなぜずれるのか

正中

①歯の大きさが左右で異なる

通常歯は左右でほとんど同じような形、サイズをしていますが『矮小歯』といった他の歯に比べて小さい歯が生えることがあります。矮小歯は先天的な歯の形態異常のひとつですが、こういった場合歯の左右の大きさにばらつきが生じるため正中のずれに繋がります。

②歯の本数が左右で異なる

歯を支える骨の中に歯が埋まったままになっている『埋伏歯』や、先天的もしくは後天的に歯が欠損していたり、逆に過剰に生えている『過剰歯』など、左右で歯の本数が異なる場合は①と同じ理由で正中のずれを引き起こす原因となります。

③骨格の歪み

顎の骨が左右非対称であったり、上顎や下顎に歪みがある場合も正中のずれに繋がります。
骨格の歪みは先天的なものであることが多いですが、頬杖をつく癖や食事の際にどちらか片方でばかり噛むような行為は日々の積み重なりによって骨格を歪める原因になるおそれがあるため注意が必要です。

歯列矯正で正中を一致させる場合

歯列矯正では可能な限り正中が一致するように治療を進めていきます。
正中を合わせていく方法は主に3択です。

①    抜歯を行い左右の歯の本数を揃える

左右で歯の本数が異なる場合は片側の抜歯を行うことで歯の本数を揃えることがあります。

②    歯の側面をやすりのようなもので削る『IPR』という治療を行う。

歯の本数や大きさにばらつきがある場合は、IPRという歯の側面をわずかにやすりで削る処置を行うことで歯の大きさを均一に揃えます。歯を削るといっても、約0.1~0.5㎜ほど研磨するだけのため、処置自体はもちろんその後もIPRによって痛みが生じることはありません。

 

なかには『スリーインサイザー』といって先天的に下顎の前歯が1本欠けており、本来は4本ある前歯が3本しかないという方もいらっしゃいます。スリーインサイザーの矯正治療は方法自体は上記で紹介したように、本数を揃えるために片側1本を抜歯するか上顎の歯にIPRを行うのが主な方法です。IPRでの治療を行う場合は上下で前歯の本数が異なるため、上下の正中がずれた状態での仕上がりになりますが、上顎の正中を顔面正中に合わせることで自然に仕上げることができます。

③    ゴムの力で正中を合わせる

3つ目の方法は、ゴムの力で上下の歯を動かし、正中を合わせていくという方法です。
ここで使用するゴムは『顎間ゴム』と呼ばれ、上下の歯をしっかり咬ませたり正中を合わせるために用いられます。これを『ゴムかけ』と言います。

ゴムかけのやり方

ゴムかけのやり方は主に2パターンあります。表側矯正の場合はワイヤーをとめている装置自体にゴムをかけていただくのに対して、裏側矯正の場合は装置が舌側にしかついていないため別途で唇側にゴムかけ用のボタンを何箇所か装着してゴムかけを行っていただきます。

ゴムかけの位置

よく使用されるゴムかけを4種類ご紹介します。

①    2級ゴム

2級エラス

こちらは上顎の犬歯(中心から3番目)から第1大臼歯(奥から2番目)にゴムをかけることで、上の歯を後ろに引っ張ることができます。これは上顎の前歯が下顎の歯に比べて前に突出している方などに用いられます。

②    3級ゴム

3級エラス

こちらは先程の2級ゴムの逆バージョンになります。3級ゴムでは上顎の第1大臼歯から下顎の犬歯にかけてゴムかけを行い、上顎よりも前に突出している下顎の歯を後ろに下げる効果があります。

③    垂直ゴム

垂直ゴム

上記の2点は上下のどちらかの歯を後ろに下げることを目的としたゴムかけでしたが、この垂直ゴムは名前の通り、歯を垂直方向に引っ張ることで上下の歯を咬ませるという効果があります。垂直ゴムは開咬(上下の前歯が咬んでいない)の方や、奥歯が咬んでいない方に使用していただくことが多いです。

④    交叉ゴム

クロスエラス

こちらは垂直ゴムの一種で交叉咬合(クロスバイト)や鋏状咬合(シザースバイト)の改善に用いられます。

通常下の歯は上の歯よりも内側(舌側)に生えていますが、何らかの原因で下の歯が上の歯よりも外側(頬側)に傾斜して生えてしまい、本来の咬み合わせと反対になっている状態のことを『交叉咬合』と言います。また、『鋏状咬合』は上の歯が外側に、下の歯が内側に倒れて生えているため上下の歯がかみ合わずにすれ違っている状態を指します。

これらの不正咬合は奥歯がしっかりかめていないことによる咀嚼能力の低下や清掃不良による虫歯、歯周病に繋がるおそれがあるためゴムかけによる改善が必要となります。

 

正中を一致させることを目的としたゴムをかけでは基本的に2級ゴムと3級ゴムを併用して正中を合わせていきます。上下の歯が左右のどちらにずれているかによってゴムかけの位置は異なるため、担当医の指導のもとゴムかけの使用をお願いします。

・ゴムかけは1日何時間使用すればいい?

当院ではお食事と歯磨き以外の時間で20時間以上のゴムかけの使用をお願いしています。ゴムかけは患者様のご協力なくしては効果を得られません。慣れないうちはゴムの力で痛みが生じたり、話しにくいといった弊害をもたらすこともありますが、ゴムかけは使用を頑張っていただいた分だけ効果も現れると同時に、治療期間の短縮にも繋がります!

・ゴムかけの注意点

ゴムかけのゴムは使用していくうちにどんどん力が弱まっていきます。そのため、最低でも1日1回はゴムを交換していただくと効果を得やすいです。また、左右にゴムかけをしている場合は力が左右のどちらかに偏ってしまうことを防ぐために、必ず左右同じタイミングでの交換をお願いしております。

ゴムかけは違和感やゴムをかける手間など、慣れるまではとても面倒で大変な作業だと思います。ですが、ゴムかけを継続していただければ必ず効果は現れるので面倒な気持ちをぐっとこらえて頑張りましょう!

元々正中が揃っていたのに、矯正で正中がずれてきた

歯列矯正では歯の凹凸を綺麗に並べるだけでなく、咬み合わせを改善させるという目的があります。そのため、治療を進めていくと上下の歯の位置が変わるとともに、元々咬合していた位置から咬み合わせがずれることがあります。また、人によっては咬み合わせが安定せず違和感を覚える方もいらっしゃいますが、この時点でのずれはほとんどの場合は想定内のものなのでご安心ください。しかし、あまりにもお痛みや咬み合わせに異常を感じるという場合には早めに担当医にご相談いただくのをおすすめします。

まとめ

歯列不正による正中のずれは矯正治療を行うことで改善することができます。
しかし骨格の歪みが原因であったり、歯列矯正だけでは正中の一致は難しい場合もあるため、現在正中のずれや歯並びにお悩みを抱えていらっしゃる方は一度自分の正中のずれは何が原因で起こっているのかを検査していただくと、自分に合った治療がきっと見つかるはずです。

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