投稿日:2024.6.26
【舌側矯正症例】前歯の凹凸・出っ歯(上顎前突)・口元を下げたい
こんにちは、博多矯正歯科です。
今回も実際の矯正治療中の患者様のお口の中のお写真を使用させていただき、どのように歯列矯正が進められているのかご紹介します。
(※患者様には前もってお写真使用の許可をいただいております。)
お口の中のお写真など苦手な方はご遠慮ください。
<基本情報>
【主訴】口元下げたい・叢生(凸凹)
【診断】上顎前突・叢生
【年齢】21歳(初診時)男性
【装置】舌側矯正+TADs
【抜歯部位】上顎左右第一小臼歯、下顎右側第一小臼歯、下顎左側第二小臼歯(親知らずもすべて抜歯)
【治療期間/定期的な調整回数】3年10か月/46回
【費用】¥1375000
【リスク・副作用】歯肉退縮・歯根吸収・咬合の違和感・装置の不快感・疼痛
<初診時所見>
正面から見ると下の歯並びが叢生(歯の凹凸のこと)だと分かります。
また横から見てみると、上の前歯が前に傾斜していることや、左右で咬み合わせの位置が違うことが分かります。(右臼歯は1級咬合/左臼歯は2級咬合)
上下の咬合面(咬む面)からは前歯の叢生(特に下顎)が目立ちます。
叢生があることによって歯ブラシが細部まで行き届かず、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。
上顎前歯の傾斜は遺伝性のものと後天性のものがあり、どちらにしても咬合不良や歯周病などのリスクが高まります。
また、不正咬合と言われる咬み合わせは普段から食いしばりや歯ぎしりなどが頻発し、歯が摩耗したり、叢生が強くなるリスクがあります。
<治療計画>
- 装置:舌側矯正+TADs使用
- 抜歯部位:上下左右第一小臼歯、下顎右側第一小臼歯、下顎左側第二小臼歯(親知らずもすべて抜歯)
患者様のご希望により、全体の舌側矯正で歯列矯正を始めることになりました。
また、今回患者様のケースは矯正抜歯を含むため「表側矯正」と「ハーフリンガル(上顎が裏側矯正、下顎が表側矯正)」が歯列矯正の種類として可能です。
ちなみに出っ歯(上顎前突)でお悩みの場合は、傾斜が取れやすいとされている舌側矯正の方が向いています!
また治療計画の中に矯正抜歯が含まれているため、今回はTADsも使用しました。
TADsとは、矯正用アンカースクリューで、ねじのような見た目をしており、それを埋入します。
なぜTADsが必要なのかと言いますと、矯正抜歯を行った後にその隙間を閉じていく際必要になるからです。
今回の患者様は裏側矯正のため、上顎の中心部にTADsを2つ埋入しました。
埋入する際は麻酔を打って行うため痛みはなく、施術後はしっかりケアをして頂くことで腫れや痛みが発生することはほとんどありません。
またTADsを外す際、埋入していた部分に穴が開いている状態になりますが、1週間程度で綺麗に塞がりますのでご安心ください。
<装置装着>
実際に歯列矯正を始めるにあたって、今回症例としてご紹介している患者様の場合は下顎からブラケットの装着を行いました。
下顎前歯は叢生が強く、特に左下の前から3番目の歯は隣の歯との重なりが強いため、周りのブラケット(矯正器具のこと)よりも小さいハーフブラケットを使用しました。
ハーフブラケットはこういった歯と歯の重なりが強く、通常のブラケットが使用できない場合に重なりが取れるまで使用します。
症例の患者様の場合、2か月ほどでハーフブラケットから通常のブラケットへ移行しました。
そしてブラケット装着とともに、下顎右側第一小臼歯・下顎左側第二小臼歯も抜歯済みです。
血液や唾液などはブラケットを外れやすくするため、大体の方は ブラケット装着→抜歯→ワイヤーセット の流れで進めていきます。
ちなみに博多矯正歯科では現在毎週水曜日のみではありますが親知らずの抜歯、矯正抜歯も行っております。
特に矯正抜歯の場合は当日そのままブラケットを装着したり隙間を閉じるための施術を行うためできるだけ当院での抜歯をお願いしております。
他院で抜歯をご希望の患者様は一度ご相談ください。
1週間後、上顎もブラケットを装着、上顎左右第一小臼歯抜歯を行いました。
大体矯正器具に慣れてくるのは2週間から1か月くらいだと言われています。
個人差があるため正確な日数の提示は出来ませんが、1週間という日数はまだまだお食事や口腔清掃なども難しかったと思われます。
上顎のブラケットを装着したことにより、上顎のブラケットと下顎の歯の先端がぶつかるようになります。
そのままの状態で歯列矯正を続けるとブラケットが外れる原因になるため、上顎左右第二大臼歯の咬合面にバイトアップと呼ばれる青いセメントを接着します。
バイトアップをすることで、上顎のブラケットと下顎の歯の先端がぶつかることがなくなるのでブラケットが外れる原因の一つを防ぐことができます。
ただしバイトアップを付けることで慣れるまでの間は話しづらく、食べ物も食べにくくなりますが咬み合わせを調整し改善することで外すことが可能で、一時的なものになります。
<半年経過>
ブラケットを装着してから半年たった症例写真です。
半年までの過程で何度かブラケットの位置を変えるために付け直しなどして半年経過した段階でまだワイヤーは細い状態ですが、歯並び自体はブラケット装着時の半年前に比べると一目瞭然です。
上顎は前歯が前に傾斜していたのがしっかり内向きになっているのと、下顎の前歯の叢生も取れ、きれいなアーチ状に並んでいるのが分かると思います。
ちなみにこの段階ではまだバイトアップは外れておらず、ワイヤー交換やブラケットの位置変えなどが主に行われていました。
<1年半経過>
上下ワイヤーが一番太いワイヤーになり、抜歯で開いていた隙間を埋めている最中です。
上顎はこのときすでに隙間がなく、下顎に隙間が残っている状態でした。
隙間の閉じ方としては、上顎は後ろに引くように隙間を閉じていく反面、下顎は後ろから前に動かして隙間を閉じていくようにしています。
ここから半年かからずに下顎の隙間も全て閉じ終えました。
<2年半経過>
2年半経過したところでまた上顎の左右に隙間が現れているのがお分かりでしょうか。
一時的に左右臼歯部分に表側のブラケットを装着させていただき、もう少し上顎の前歯を後ろに下げるためわざと隙間づくりをしている段階です。
これを遠心移動と呼びます。
遠心移動では裏側矯正の場合、基本的には隙間を作りたい歯と歯の間のワイヤーにコイル状のバネを入れて歯を後ろに動かしていくのですが、こちらの患者様の場合、裏側のみでは力が加わりにくかったため一時的に表側にもブラケットを装着し、裏と表から同時に力をかけていました。
ちなみにこちらの遠心移動は約半年間で後ろに下げる十分な隙間を得ることができました。
<3年半経過>
かみ合わせの位置も良く、隙間も無くなりました。
この段階で何をしているのかというと、微調整と言って1歯1歯の角度や位置をより綺麗に並べるためにワイヤーを細かく曲げて歯を動かしていく期間です。
この2か月後、約3年10か月の歯列矯正生活を終えることが出来ました。
最終日には素敵な笑顔で「歯列矯正をして人生が変わりました!本当にしてよかったです。」と直接お伝えしてくださいました。
抜歯ありの歯列矯正での期間は通常より気持ち長めにはなりましたが、ご満足していただけて私たちの今後の励みになりました。
<まとめ>
今回症例として挙げた舌側矯正は「見えない矯正」として当医院で多くの患者様に支持していただいております。
最大のメリットとして歯の裏側にブラケットが装着されるため歯列矯正は気になるけど、矯正器具が歯の表側についているのがちょっと…という方にとても適しています。
マウスピース矯正も裏側矯正の次に目立ちにくいですが、ワイヤー矯正との違いとして抜歯が必要な歯列矯正にはあまり向かないのと、お食事や歯磨きの時以外はずっとマウスピースを使用していただくことが条件のため目立ちにくい、尚且つワイヤーの力の方が歯にかかる力が大きいため裏側矯正の方が、理想的で歯が並ぶのも早く感じるでしょう。
ただ裏側矯正も良い所ばかりではありません。
デメリットとして、ブラケットを歯の裏側に装着するため慣れるまで話しづらかったり、費用が他の種類の歯列矯正より高いというところも挙げられます。
今歯列矯正を考えている、始めたい!とお思いの方のために博多矯正歯科では何種類かの歯列矯正を取り扱っております。
ワイヤー矯正で4種類(表側矯正/裏側矯正/ハーフリンガル/部分矯正)とマウスピース矯正が主な種類になります。
ご自身のお口の中がどんな矯正の種類に適しているのかは大前提としてライフスタイルや何に重きを置くのかということも重要になるため、歯列矯正をお考えの方は一度博多矯正歯科の無料カウンセリングへお越しください。
お気軽にご予約お待ちしております。