投稿日:2024.9.18
歯列矯正で歯を引っ込めたい!メリットとデメリットは?
歯列矯正を考える最初の理由として、歯並びを綺麗にしたいという思いから始める方が多いと思います。歯並びが整うことで自分に自信をもち、性格まで前向きに変えてしまうこともあります。さらには将来的に歯列矯正にはたくさんのメリットがあります。ただ、全くリスクなく治療を行うことはできません。患者様に理解しておいてもらいたいデメリットもあるため、ここではその両方についてお話させていただきます。
目次
①歯列矯正のメリット
正しい噛み合わせを作ることができる
実は歯列矯正のいちばん大切な目的は、正しい位置の噛み合わせをつくることにあります。
毎日の食事は生きていくために欠かせないものであり、噛むことで食べ物を飲み込むことができます。噛む力は想像以上のものであり、最大で自分の体重の倍くらいの力がかかると言われています。
正しい噛み合わせであれば、全体で均等に噛んで力を分散させることができます。もしも、歯並びが悪くて毎日同じ歯ばかりに負担をかけ続けたらどうでしょう。負担に耐えきれなくなり歯としての寿命は短いものになるでしょう。
それだけでなく、毎日の偏った噛み合わせは顎への負担も大きいものになります。頬杖をついていたり、左右どちらかばかりで噛んでいて顎が痛くなった経験はないでしょうか。
上顎と下顎は耳の下あたりにある関節で繋がれていて、下顎を上下に動かすことで口が開閉できます。その関節に負担をかけ続けていると顎関節症が起こり痛みがでます。
顎関節症は治療によって治すことが出来ますが、支障が少ないからといって放置すると関節周りの筋肉がバランスを崩して肩こりや頭痛、めまいなどを引き起こすことがあります。
正しい噛み合わせで過ごすことは、歯の寿命を伸ばすことができ顎へのトラブルも予防することができるのです。
虫歯や歯周病の予防になる
歯列矯正で歯並びを整えることで清掃がしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。
虫歯や歯周病の原因は磨き残しによる菌の増殖です。毎日綺麗に歯磨きを行なっていればそれらを防ぐことはできますが、歯並びによって自分で磨ききれないところがあれば当然のことながら進行は加速してしまいます。
また、噛むことは唾液の分泌も促されます。唾液には重要な役割があり、口の中の湿潤状態を保つことで乾燥を防ぎ菌の繁殖を抑えたり抗菌作用によって虫歯予防の働きをしています。
歯周病や虫歯が進行すればやがて歯を失いうまく物を噛むことができなくなってしまいます。失った歯は取り戻すことができないため、若いうちからの予防がとても重要になります。
全身状態に良い影響を与える
正しい噛み合わせでいることは体のバランスもいい状態に保ち、筋肉の動きにも良いとされています。そのため、スポーツ選手は噛み合わせに気を使い歯を大切にしている人が多いとされています。
しっかり噛んで食事をすることで内臓への負担もかかりにくく、さらに脳への刺激も活性化されるため将来的に考えて認知症の予防にも繋がるのです。
頭痛や肩こりに悩んでいた人が、歯列矯正を行なったことでそれらが改善されたというのも珍しいことではありません。みなさんが思っている以上に歯並びは全身に影響を与えるのです。
見た目の改善
こちらは言うまでもなく、見た目のコンプレックスが改善されることがご本人にとって大きなメリットになると思います。
歯列矯正を行う際、顔を横からみた時のEラインを意識して行います。Eラインとは顎と鼻先を線で結んだ際にできる最も美しいとされる横顔の基準となり、前歯の凸凹を整えることで改善されるケースもあります。
見た目の改善は本人の精神面にも影響し、自分に自信をもち性格を前向きにすることも大いに考えられるのです。
②歯列矯正のデメリット
治療に時間がかかる
一般歯科での虫歯の治療は時間がかかるイメージをもつ方がいらっしゃいます。
さらに歯列矯正になると年単位での治療が必要になってきます。稀に、1本だけ歯並びを整えたいと治療を行なって数ヶ月で終了する場合もありますが、基本的に最低でも1年半〜3年の期間が必要になります。
歯列矯正は少しづつ力を加えながら歯を移動させます。前歯を整えるだけでも奥歯の噛み合わせなど全体のバランスも考えながら行なっていくので一気に動かして完了させることは難しいのです。
装置をつけている期間は少なからずストレスがかかります。家庭での予定や仕事の状況を考えて自分ができそうな時期を考慮して行うことも必要です。
高額である
歯列矯正は保険適用外の場合が多いので、どうしても費用が高額になってしまいます。
顎の形に問題があり咬合異常として診断された場合は外科手術が保険適用になることがありますが、遺伝や成長過程による歯列不正は自費診療となってしまいます。
程度や治療法によって大きく差が出ますが、おおよそ全体を治療しようとすると50万〜180万程はかかるとされています。
これが部分矯正のみの場合は数十万抑えることができたり治療法によっても変わってきます。治療費のために生活が苦しくなるのは考えものです。金銭面もしっかり専門医に相談して決めるようにしましょう。
歯の痛みや口内炎が起こりやすい
歯列矯正の治療法には大きく分けてふた通りの方法があります。ひとつ目は自分で取り外し可能なマウスピース型です。硬いゴム製のものを毎日20時間以上装着して歯を動かします。
痛みは強く出にくいですが、口の中に異物を装着するのは違和感がありますし、慣れるまでは大変かもしれません。途中で投げ出したくなってしまわないよう、意思をしっかりともって行えるといいでしょう。
ふたつ目は固定式のワイヤー治療です。歯の表面に針金のワイヤーを通して歯を引っ張って動かします。力を加える歯の痛みや、針金が粘膜に当たって口内炎ができることもあります。
どちらも方法も慣れるまでには時間が必要で、トラブルを乗り越える心構えが必要になってきます。
③歯列矯正を乗り切るために
歯列矯正にはメリットもデメリットもあることはご理解いただけたと思います。
だた、時間や金額はある程度想像できていたとしても痛みの度合いは個人差があり想像しにくい部分です。そのため、治療の途中で辞めたくなってしまわないようにするにはどうしたら良いかをお話していきます。
まずは自分の理想像を明確にすることです。今の歯並びでどう悩んでいてどのような理想像があるのか。そこがあやふやだと続ける気持ちを持続することが難しくなってしまいます。
担当の専門医にも正直な気持ちを伝え、細かな疑問や不安も話すようにすることも治療を続けるポイントとなります。
そして、装置の違和感や痛みはずっと続くものではないということも理解しておきます。
装置の違和感は約1週間程で慣れてきます。痛みの原因はさまざまですが装置をつけてから3〜6時間後に痛みはじめ、2〜3日後にピークを迎え徐々に減っていきます。
痛みの原因でいちばん多いのは歯が動く際のうずくような痛みとされています。痛みが出ることは治療が正しく行われている証拠ではありますが、辛くて眠れなかったり仕事に集中できないなどの場合は痛み止めや装置を緩めるなどの対処法があります。
そのほか、装置が粘膜に当たって痛い場合はワックスで当たる部分を保護したり、噛んで痛い時は食べ物を柔らかいものを選ぶ等の方法があります。
いずれも痛みは一時的なものであり対処法もあることを理解しておけば、心配しすぎる必要はありません。
いかがでしたでしょうか。歯列矯正が全身にも将来的にも良い影響を与えることを初めて知った方もいると思います。見た目を綺麗にすることだけが目的だと思われがちですが、実は人が健康に過ごすためには噛み合わせがとても重要であることを理解していただけたら嬉しく思います。