投稿日:2022.5.7
お口の乾燥と唾液の重要な役割
皆様こんにちは!福岡市博多区にある博多矯正歯科です。
段々と気候が暖かくなってきて、外出するのに良い季節になってきました。
中には花粉症や気温差で体調不良になっている方もおられるのではないでしょうか?
福岡では黄砂やPM2.5の影響でアレルギー性鼻炎でお悩みの方も少なくありません。このような季節の変わり目やアレルギー症状が起こりやすい時期には口が乾きやすくなることがあります。
今回は、今の季節に起こりやすいお口の乾燥に着目して「お口の乾燥と唾液の重要な役割」についてお話します。
この時期花粉症の症状がある方はくしゃみや鼻づまり目のかゆみなど、不快な症状に苦労されるかと思います。
鼻での呼吸が難しくなり、口呼吸が増えてしまうことからお口の中の唾液の減少が起こり、お口の中のトラブルが起こりやすくなるため注意が必要です。
目次
唾液はどこから出てくるの?
私たちのお口の中は、24時間常に唾液が分泌されて潤いを保っています。
1日で分泌される唾液の量は、成人の場合約1〜1.5リットルと言われています。
唾液は体の健康やお口の中の健康に関わる大切な働きをしてくれています。
唾液が出てくる場所は唾液腺という小さな穴です。
唾液腺には「大唾液腺」と「小唾液腺」があり、大唾液腺は3個、小唾液腺は600〜1000個あり、お口の中に多数存在します。
大唾液腺は「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」です。
ほとんどの唾液はこの3つの大唾液腺から出てきます。
唾液の分泌を促したい時には、大唾液腺がある耳の下(耳下腺)、顎の下(顎下腺)、舌の付け根(舌下腺)あたりを顔の外側からマッサージをして刺激することで唾液の分泌を良くすることができます。
口の中が乾く原因
アレルギー症状や風邪を引くことで鼻炎で鼻が詰り、口呼吸をすることで口の中が乾燥します。
また、アレルギー症状を抑える抗アレルギー薬を服用することで、唾液の分泌が押さえられてしまうことがあります。
その他にも、アデノイド肥大や睡眠時無呼吸症候群は、無意識に口呼吸をするため、口の中が乾燥しやすくなります。
加齢や、精神的な緊張、ストレスなどでも唾液が減少し、口の中が乾きやすくなることがわかっています。
また、疾患によるお口の中の乾燥は、糖尿病や貧血、シェーグレン症候群と呼ばれる自己免疫疾患は口の中や目の乾燥の症状があります。
【口が乾燥する原因】
- 鼻炎・鼻詰まり
- 歯列不正
- 口呼吸
- 緊張やストレス
- 薬の影響
- アデノイド肥大・鼻の形状の異常
- 睡眠時無呼吸症候群
- 加齢
- 糖尿病や貧血
- シェーグレン症候群
唾液の6つの作用
1.消化作用
唾液に含まれるアミラーゼという酵素は、主にお米や芋、小麦などの炭水化物(デンプン)を糖(麦芽糖)に分解してくれる働きがあります。
お米をよく噛んで、甘味を感じるのは糖に分解されているためです。
食べ物を噛む回数を増やして、唾液の酵素を多く含ませることで、消化を助ける働きもあります。
栄養素を効率良く吸収でき、胃腸の負担を軽くすることができます。
2.保護・潤滑作用
唾液には「ムチン」というネバネバした粘液性のタンパク質が含まれています。
ムチンは口の中全体の粘膜を覆っており、口の中の潤いを保つことや、硬いものを食べた時などに粘膜が傷付くことを防いでくれています。
唾液が減少して口の中が乾燥すると、舌や口の粘膜に傷がつきやすくなるため、口内炎ができやすくなってしまいます。
ムチンには潤滑作用もあるため 、食べ物の咀嚼や、嚥下(飲み込み)、会話などの発声を助け、口の動きをスムーズにしてくれる働きがあります。
3.抗菌作用
口の中には沢山の常在菌が存在しています。
唾液に含まれる免疫物質(免疫グロブリン)や酵素(リゾチーム)などの働きで、お口の中の細菌の増殖を抑える効果があります。
また、細菌が体内に侵入することを防ぐ効果や、お口の中を常在菌がバランス良く保てるよう管理する効果もあります。
細菌が増殖すると、プラーク(歯垢)が形成され、口臭がきつくなることや虫歯や、歯周病が起こる原因になります。
4.浄化作用
食べかすや細菌などを洗い流す唾液の働きが浄化作用(自浄作用)です。
浄化作用によって虫歯や歯周病のリスクを減らし、喉の炎症を起こりにくくしてくれます。
唾液が少ない状態は、食べカスや細菌の残存率が上がり、口臭や虫歯、歯周病の原因になります。
5.緩衝作用
糖分の高い飲み物や食べ物をだらだらと食べ続けていると、お口の中のPhが酸性に傾きやすくなります。
酸性の状態が続くと歯のエナメル質を溶かしてしまうため、歯がもろくなり虫歯の原因になります。
唾液には酸性に傾いたお口の中のPhバランスを中和して、中性に戻してくれる働きがあります。
6.再石灰化作用
唾液には初期の虫歯を修復する再石灰化作用があります。
初期の虫歯は、歯の表面にあるエナメル質が溶けて白く脱灰します。
唾液には脱灰したエナメル質を再石灰化させるリン酸やカルシウムが含まれているため、初期の虫歯を修復してくれる作用があります。
お口の中が乾燥した時の対処法
良く噛むこと
食べ物を食べる時に、咀嚼の回数は1口に30回以上が理想的であると言われています。良く噛むことで唾液の分泌が促進されます。
水分をこまめに摂ること
唾液は99%が水分で作られています。体の水分が不足すると唾液も減少するため、こまめに水分の摂取を心がけるようにしましょう。
コーヒーや緑茶などの、カフェインを含むものや、アルコールは、利尿作用があるため逆に水分不足になることもあり注意が必要です。
水分を摂る時は、シンプルにお水を飲むことがおすすめです。
唾液腺マッサージ
唾液腺について上記でもご紹介しましたが、主に唾液が分泌される耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つの大唾液腺をマッサージをして刺激することで、唾液の分泌を促します。
【唾液腺マッサージの仕方】
耳下腺
手指を耳の下に当ててゆっくり回します。
顎下腺
耳の下から顎にかけて親指で押します。
舌下腺
顎の真下の舌の付け根を親指で押します。
保湿剤を使う
保湿剤は市販やネット通販などでも手に入りますが、歯科でも取り扱っています。お口の中を潤す保湿剤は、ジェルタイプ、うがい薬、スプレータイプ、タブレットなどがあります。
お口の乾燥の状態によって使用感が合うものを選ぶようにしましょう。
唾液の分泌を促す食材を摂る
梅干しやレモンなどの酸っぱいものは唾液の分泌を促すことで良く知られている食材です。
昆布や納豆なども唾液の分泌に効果があると言われています。
また、ガムを噛むことや、根菜類やナッツなどの良く噛んで食べる必要がある食材を食べることもおすすめです。
鼻呼吸を心がける
本来理想的な呼吸は鼻で行う鼻呼吸です。口が開いてしまうことで口呼吸が癖になってしまいます。
口呼吸の原因は鼻炎や歯並びなど様々ですが、意識的に口を閉じて鼻呼吸をすることも大切です。
まとめ
唾液は、無意識の状態でも常に体の健康を守る大切な役割を持っています。
口の中が乾燥して唾液が減少すると、虫歯や歯周病のリスクが上がるだけでなく、口臭の悪化や口の動きが悪くなり、発声や嚥下もしづらくなります。
唾液の分泌量が減少する原因は鼻炎や加齢、ストレスなど様々です。
お口の状態には個人差があるため、症状や原因に合わせて対処することが大切です。
お口の乾燥に悩んでいる方は、口腔ケアが必要な場合もあります。
歯科医院に一度ご相談ください。唾液腺マッサージを一緒に実践してお伝えしたり、口呼吸の改善や保湿剤のアドバイスなどもできます。
花粉症などのお口の中が乾いてしまう時期には、歯科医院でお口のクリーニングを受けてお口のトラブルを回避するようにしましょう。