投稿日：2024.7.31
アンカースクリュー(矯正用インプラント)を使った歯科矯正方法とは？
歯科矯正治療は、歯並びを整えて美しい笑顔を手に入れるための重要な方法です。中でも、アンカースクリューを使用した矯正治療は、特に難しい歯並びの問題に効果的。この記事では、アンカースクリューを使った矯正治療の詳細やメリット、治療のプロセスなどについて詳しく解説します。
「アンカースクリューって何？」「どんな歯科矯正治療なの？」と思われている方は、是非ご一読ください。
アンカースクリューとは？
アンカースクリューとは、矯正治療において歯を動かすための固定源として使用される医療用ネジのことを指します。形状は直径1〜2mm、長さは6〜10mmほどと、とても小さなネジです。これを顎の骨に埋め込み、そこから歯を引っ張ったり押したりする力を加えることで、精密な歯の移動を実現させます。アンカースクリューはチタン製で、体内に埋め込んでも安全な素材でできています。
アンカースクリューの役割
アンカースクリューは、歯を動かすための支点として機能します。これにより、従来の矯正治療では困難だった歯の移動を可能にし、より効率的で正確な治療が出来るようになったのです。特に、特定の歯を移動させる場合や、全体のバランスを整える場合にも有効です。
例えば、抜歯をして前歯を下げたい場合にアンカースクリューを使用することで、後ろの歯が前に来ることを防ぎより効率的に歯を動かすことができます。
また、引っ張る力も強くなるので治療の進度も早まります。
アンカースクリューのメリット
使用することのメリットをご紹介します。
高い効果と精度
アンカースクリューを使用することで、従来の矯正治療では難しかった歯の移動が可能になります。特に、奥歯の位置を変える必要がある場合や、特定の歯だけを移動させたい場合に効果的です。スクリューがしっかりと固定されているため、正確な力を加えることができ、高い精度で治療が進められます。
治療期間の短縮
従来の矯正治療に比べて、アンカースクリューを使用することで治療期間が短縮されることがあります。固定源が安定しているため、必要な歯の移動がスムーズに行われ、結果として治療期間が短くなるのです。
治療の負担を軽減できる
アンカースクリューは小さく、装着後も違和感が少ないため、治療における口腔内の負担を軽減できます。また、スクリューを使用することで、他の歯にかかる力を減らして歯や歯茎への負担を減少させることが可能なのです。
適用する人の症状
アンカースクリューを使用した矯正治療は、特に難しい歯並びや噛み合わせの問題に対して効果的です。以下に、適用することが多い症状を詳しく説明します。
１．重度の歯列不正
重度の歯列不正とは、歯が大きくずれている状態を指します。通常の矯正治療では移動が難しい歯に対して、アンカースクリューを用いることで効果的に歯を動かすことが可能です。例えば、犬歯が大きく前方に突出している場合や、奥歯が極端に内側に倒れている場合など、アンカースクリューを使って精密に矯正することができます。
２．噛み合わせの不正
噛み合わせの不正は、上下の歯が正しく噛み合わない状態を指します。例えば、上下の歯が噛み合わずに開いたままの状態であるオープンバイト(開口)や、下の前歯が上の前歯に過度に覆われている状態のディープバイト(過蓋咬合)といった噛み合わせの症状などです。これらの症状に対して、アンカースクリューを用いることで正確な力を加え、噛み合わせを改善します。
３．顎の位置異常
顎の位置異常も適応症例です。下顎前突（受け口）や上顎前突（出っ歯）など、顎の位置が前後にずれている場合、アンカースクリューを固定源として使用し、顎の位置を正しい位置に導くことが可能。これにより、見た目の改善だけでなく、咀嚼機能の向上も期待できます。
４．特定の歯の移動が必要な場合
特定の歯を集中的に移動させる必要がある場合にも有効です。例えば、奥歯を後方に移動させて前歯のスペースを確保したり、逆に前歯を内側に引っ込めたりする場合など、アンカースクリューを用いることで、確実に歯を移動させることができます。
５．矯正治療の再治療
過去に矯正治療を受けたものの、再び歯並びが乱れてしまった場合にもアンカースクリューが役立ちます。再治療では、初回の治療よりも歯や歯茎に対する負担が大きくなることが多いため、アンカースクリューを用いることで、効率的に治療を進めることができるのです。
アンカースクリューを使用することで、従来の矯正治療では難しかった症例に対しても、精密かつ効果的に対応することが可能です。矯正歯科医と相談し、自分の症状に合った最適な治療法を選ぶことが重要となってきます。
治療の手順
アンカースクリューを使った歯科矯正の治療手順をみていきましょう。
① アンカースクリューの装着
アンカースクリューの装着は、専門の矯正歯科医によって行われます。局所麻酔を使用して顎の骨にスクリューを埋め込むため、手術自体は短時間で済み、痛みもほとんどありません。装着後は、スクリューがしっかりと固定され、即座に矯正力を加えることが可能です。
② 矯正装置の装着と調整
※写真は表側矯正の場合の見本です。アンカースクリューの使い方は様々ですのでこの通りにならない場合もございます。
アンカースクリューが装着された後、矯正装置（ブラケットやワイヤー）を装着します。スクリューを固定源として、歯に適切な力を加えて歯の移動を進めるのです。定期的に通院し、装置の調整や進行状況のチェックを行います。
③ 定期的な通院と調整
矯正治療中は、通常4〜6週間ごとに通院し、矯正装置の調整やアンカースクリューの状態を確認します。これにより、治療が計画通りに進行しているかをチェックし、必要に応じて微調整を行うのです。
④ 治療の完了と保定
目標とする歯並びや噛み合わせが実現したら、矯正装置を取り外します。アンカースクリューも取り外し、歯を移動させる治療は終了です。そして、歯が元の位置に戻らないように保定装置（リテーナー）を一定期間使用します。保定期間は個人差がありますが、通常は1〜2年程度です。
デメリットと注意点
使用することのデメリットや注意点も確認しておきましょう。
感染リスク
アンカースクリューを装着する際に、感染のリスクがあります。手術後は口腔内を清潔に保ち、適切な口腔ケアを行うことが重要です。感染が起こった場合は、早めに矯正歯科医に相談し、適切な対処を受ける必要があります。
不快感と痛み
スクリューを装着した直後や調整後には、一時的に不快感や痛みを感じることがあります。しかし、ほとんどの場合、数日で痛みは和らぐことが多いです。痛みが続く場合は、矯正歯科医に相談しましょう。
スクリューの脱落
まれにアンカースクリューが脱落することがあります。その場合は、再度スクリューを装着する必要があるのです。脱落を防ぐためには、スクリュー周辺の口腔ケアをしっかりと行うことが大切となってきます。
治療の費用について
アンカースクリューを使用する場合、多くは別料金になりますが当院ではトータルフィーに含まれており、追加料金は一切ございません。
医院によって様々ですので、直接ご相談してみるのが良いと思います！
まとめ
アンカースクリューを使った矯正治療は、特に難しい歯並びの問題に対して効果的な方法です。高い精度で歯を移動させることができ、治療期間の短縮や治療の負担軽減といった多くのメリットがあります。治療プロセスや適応症例を理解し、矯正歯科医と相談して自分に最適な治療法を選びましょう。適切な矯正治療を受けることで、美しい歯並びと健康な口腔環境を手に入れることが可能です。
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