投稿日:2022.11.12
マウスピースの適応症例~捻転・過蓋咬合・抜歯~
「マウスピース型矯正とワイヤー矯正は適応症例に違いがあるって本当?」と気になっていませんか?
歯を1本1本固定するワイヤー矯正のほうがマウスピース型矯正よりも適応症例が多く、治療がスムーズにすすむ傾向にあります。マウスピース型矯正には苦手な歯の動かし方が存在するので、治療をご検討中の方はその点を事前に理解しておきましょう。
こちらのページでは、マウスピース型矯正が苦手な歯の動かし方や、得意とする歯並びなどを分かりやすくまとめました。ぜひご参考ください。
目次
マウスピース型矯正が苦手な歯の動かし方
マウスピース型矯正の苦手な動きは、主に以下の3つです。
歯を引っ張り上げる動き
マウスピース型矯正は、歯列全体に装置を被せて歯を動かす治療法であるため、歯を引っ張り上げる動きが苦手です。生えきっていない歯がある場合や、高さを出す必要があるケースでは、ワイヤー矯正のほうが適切だといえます。
歯の高さを維持したまま真横に動かす動き
マウスピース型矯正で大きなスペースを閉じようとすると、歯がドミノ倒しのように斜めに倒れてしまいます。倒れた歯を起こす動きも苦手であるため、理想の見た目にならなかったり、仕上がるまでに時間がかかったりする可能性があります。
捻じれた歯をもとに戻す動き
マウスピース型矯正では歯を少しずつしか動かせないため、捻じれた歯をもとの状態に戻すに時間がかかります。
マウスピース型矯正が苦手とする歯並びやお口の状況
歯並びやお口の状況によって、適切な治療法は異なります。どのようなケースがマウスピース型矯正に向いていないかを以下でくわしくみていきましょう。
抜歯が必要な症例
重度の上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)、叢生(デコボコ)の場合、歯を並べるためのスペースが不足していることがあります。スペースを作るために抜歯をしますが、きれいに閉じるには「歯の高さを維持したまま真横に動かす」という動きが必要です。マウスピース型矯正はその動きが苦手なため、基本的にワイヤー矯正で対応します。
捻じれた歯がある症例
捻じれた歯は叢生のケースでよくみられますが、上顎前突や下顎前突、歯間空隙(すきっ歯)でも稀に存在します。捻じれた歯をマウスピース型矯正だけで直すのには時間がかかるため、事前に知らされていた治療期間よりも延びる可能性があります。
過蓋咬合
過蓋咬合の主な原因として「奥歯が埋まっている、もしくは生えきっていない」「前歯が萌出しすぎている」などが挙げられます。奥歯を引き上げる動きが必要な場合は、マウスピース型矯正だとスムーズにすすみにくいため、ワイヤー矯正をおすすめします。
インプラントが数本入っている
矯正治療で歯を動かすには、天然の歯根膜が必要不可欠です。人工歯根であるインプラントの周囲には歯根膜がないため、矯正治療で動かすことができません。インプラントが何本も入っている場合は、周囲の歯とのバランスを合わせるために微調整を行う必要があり、それがしやすいワイヤー矯正で対応します。
外科手術が必要な症例
外科手術が必要な症例の場合、術前や術後に矯正治療での微調整が必要です。マウスピース型矯正では微調整が難しいため、ワイヤー矯正で対応します。
重度の歯周病
重度の歯周病で歯のグラつきがみられると、矯正治療が受けられません。矯正治療を行う前に歯周病治療や抜歯をして、グラつきのない安定した環境を作る必要があります。
マウスピース型矯正が得意とする歯並び
「複雑な歯並び」や「微調整」を苦手とするマウスピース型矯正ですが、得意な症例も存在します。
抜歯が不要な軽度の症例
抜歯が不要な軽度の症例は、広いスペースを閉じる必要がないため、マウスピース型矯正で治療できます。すきっ歯の症例もスペースはありますが、抜歯が必要な症例にくらべて各スペースが小さいことが多く、その場合はマウスピース型矯正でも問題なく治療が可能です。
捻じれた歯がない症例
捻じれた歯がない症例は、マウスピース型矯正でもスムーズに治療をすすめることができます。きれいに並んでいると思っていても実際は捻じれているケースも少なくありません。自己判断はせずに、一度歯科医院で確認してみましょう。
歯の高さに問題がない症例
歯の高さに問題がない症例は、歯を引っ張り上げる必要がないため、マウスピース型矯正でも治療できます。適切な歯の高さは患者様のお口の状況によって異なるため、気になる方は歯科医院で一度確認してみることをおすすめします。
マウスピース型矯正のみで無理に治療をすすめるデメリット
歯並びのタイプや程度によっては、ワイヤー矯正での治療が必要です。無理にマウスピース型矯正だけで治療をすすめると、トラブルにつながる可能性があるので注意しましょう。おこりやすいトラブルとして、以下の3つが考えられます。
見た目や噛み合わせが理想と異なる場合がある
マウスピース型矯正は微調整が苦手なため、もとの歯並びや治療の進み具合によっては終了時の見た目や噛み合わせが理想と異なる場合があります。とくに、抜歯が必要なケースや、歯の位置や向きに問題があるケース、歯の高さが不足しているケースは注意しなくてはいけません。
治療期間の延長につながりやすい
マウスピース型矯正は「歯を1本1本固定できない」「患者様自身で装置を着脱する必要があり管理能力によって結果が左右される」以上の2点から、治療が計画通りにすすまないケースが珍しくありません。計画通りにすすまないと、その分治療期間が延びてしまうので、引っ越しや進学、転勤などで治療期間に制限があるという方には、ワイヤー矯正との併用をおすすめします。
モチベーションが下がりやすい
治療期間の延長や思うように歯が動かないという状況は、患者様のモチベーションの低下につながります。治療期間が延長する可能性が高い場合や、治療期間をできるだけ短くしたいという方、理想通りの見た目や噛み合わせに仕上げたいという方には、ワイヤー矯正もしくはマウスピース型矯正とワイヤー矯正の併用をおすすめします。
マウスピース型矯正で難しい症例を行うには?
一時的にワイヤー矯正と併用して治療をすすめることで、マウスピース型矯正の苦手な動きをカバーできます。目的の位置に歯が動いたらワイヤー矯正の装置は外すため、ずっと装置がついているというわけではありません。目立ちにくい場所に装置がつくケースがほとんどなので、審美性が大きく変わる心配もないといえるでしょう。
適切な治療法をみつけるには精密検査が必要
適切な治療法をみつけるには、お口の状況を正しく把握するための精密検査が必要です。矯正治療にかかる期間や費用なども決定しますので、治療をご検討中の方やとりあえず期間や費用を把握しておきたいという方も、お気軽にご相談ください。
治療法の得意な動きと苦手な動きを理解することが大切
マウスピース型矯正は、装置のタイプの関係上、適応症例に限りがあります。ワイヤー矯正にくらべて苦手な動きが多いため、それをカバーするためにワイヤー矯正と併用して治療をすすめることも珍しくありません。マウスピース型矯正だけで無理にすすめると、トラブルにつながる可能性があるので、その点は担当の歯科医師としっかり相談して決めるようにしましょう。
当院では、マウスピース型矯正をご希望の方に、適応症例や治療法のメリット・デメリットを分かりやすくご説明しています。歯並びでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
またワイヤー矯正との併用も基本的に無料でおこなっておりますので、追加料金などは発生しません。
他院でマウスピース矯正をするより、いろんなパターンに対応できるようになっているのでご安心ください!
※マウスピース型カスタムメイド歯科矯正装置は、日本では完成薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となることがあります。
※矯正歯科治療は公的医療保険適用外の自費(自由)診療となります。