投稿日:2023.10.14
受け口の矯正施術に使うバンドってなに?
こんにちは。福岡市博多区にある博多矯正歯科です。
いつも当医院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
中等度~重度の受け口はワイヤー矯正で対応することが多いです。ワイヤー矯正は歯にブラケットとワイヤーをつけて歯並びを整える方法ですが、症例によって奥歯に「バンド」という装置をつけることがあります。初めて耳にされる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、受け口の矯正施術に使うバンドとは何か、メリット・デメリットなどについて紹介します。
目次
受け口の矯正施術に使うバンドってなに?
バンドとは、前から6番目の歯に被せる金属のリングのことで、ワイヤー矯正の際に使用します。バンドには輪っかだけのものと「チューブ」と呼ばれるワイヤーを通す部品が溶接されているものがあります。
バンドを使用する目的は主に2つあり、1つ目はブラケットの脱離を防ぐことです。セラミックや銀歯が入っている方、歯の高さが低いためブラケットを安定して装着できない方は、ブラケットが外れやすく、それを防ぐためにバンドが使用されることがあります。
2つ目はバンドタイプの矯正装置の固定源として使用します。たとえば、抜歯矯正では奥歯を前に移動させたくないケースがあり、このような状況で利用されるのがナンスホールディングアーチやトランスパラタルアーチといったバンドと一体化した装置です。受け口の治療ではこれらの装置を使用して歯の動きをコントロールすることがあります。
歯列矯正でバンドを使うメリット
歯列矯正で使用するバンドは、以下のメリットがあります。
矯正装置が外れにくくなる
ブラケットは接着剤で歯に固定しますが、接着面が小さく、接着力も外すことを考慮してあるため、噛み合わせが強い方、銀歯やセラミックの被せ物が入っている方は外れてしまうことがあります。一方で、バンドは歯を囲むため接着面が広く、ブラケットに比べて外れにくい特徴があります。
インプラント矯正よりも負担が少ない
歯を大きく動かす際、インプラント矯正を行うことがあります。これは小さなチタン製のネジを歯ぐきに埋め込み、固定源を確保する処置です。ただし、ネジを埋め込む処置が必要なため、患者さんにはある程度の負担が伴います。それに対して、奥歯にバンドを装着する方法は、患者さんへの負担が少なくて済みます。
固定式のため効果が期待できる
バンドは固定式の装置のため、基本的に矯正治療が終わるまで取り外すことはありません。マウスピース矯正のようにご自身で取り外しが可能な装置とは異なり、患者さんの行動に影響されず、効果が期待できるというメリットがあります。ただし、バンドタイプの矯正装置は目的が達成されたら外されます。
歯列矯正でバンドを使うデメリット
バンドの装着は、以下のデメリットが生じることがあります。
舌が傷ついたり口内炎ができたりすることがある
金属製のバンドは歯の周囲を覆うため、最初は気になって舌で触ってしまうことがあります。その結果、舌が傷ついたり口内炎ができたりすることがあります。
装置を外した後にすき間が残ることがある
バンドを外した後にスペースができてしまうと、食べ物が挟まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。
歯垢がつきやすい
バンドの周辺は歯垢がつきやすいため、歯ぐきの炎症や虫歯になる可能性が高くなります。これまで以上に丁寧な歯磨きが必要になるのがデメリットと言えるでしょう。
バンド装着後の注意点
バンド装着後は以下の注意点があります。
硬い食べ物・粘着力の強い食べ物は避ける
硬い食べ物は、バンドやチューブの破損の原因になるため注意しましょう。また、キャラメルやガムといった粘着力の強いものは装置に付着すると落ちにくくなるため、避けた方が望ましいです。
歯磨きを丁寧に行う
バンドやブラケットなど矯正装置がついていると、食べかすや歯垢がつきやすいことに加え、歯ブラシも届きにくく、磨いたつもりでも磨けていないことも多いです。虫歯や歯周病になりやすいお口の環境になるため、丁寧に歯を磨くことが重要になります。
歯ブラシだけでは汚れが落としきれないため、タフトブラシや歯間ブラシを使用して磨くのがおすすめです。また、定期的な歯科医院でのクリーニングを行うことで虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。目安は1~2ヶ月に1回、調整日にクリーニングを一緒に受けると良いでしょう。
指や舌で触らない
最初は違和感があるため、指や舌で触ってしまうことが多いです。破損の原因となるため刺激を与えないようにしましょう。また、時間が経つと歯が動き、チューブからワイヤーがはみ出ることがあります。
頬の内側に触れるとチクチクしますが指で触れないようにし、気になる場合は受診してワイヤーの先端を調整してもらいましょう。
バンドの装着でよくあるトラブルとその対処法
バンドを装着しているとトラブルが起きることがあります。ここでは、バンドに関するトラブルと対処法について紹介します。
バンドの一部が欠けた
硬い物を食べたり、無意識のうちに強く噛んでしまうと欠けてしまうことがあります。まずは欠けた部分が鋭利でないか確認し、鋭利な場合は矯正用ワックスで覆ってケガを防ぎましょう。そして歯科医師に相談し、適切な対処を行ってもらいます。
バンドがめくれてきた
バンドがフィットしていなかったり、強く噛んだりするとめくれることがあります。めくれたバンドは舌や頬を傷つける可能性があるため、すぐに歯科医師に相談しましょう。めくれた部分はワックスでカバーすると、痛みをやわらげられます。
バンドに溶接しているチューブが外れた
バンドに溶接しているチューブが外れることもあります。チューブが外れた場合、無理に戻そうとせず、ワックスで適切な位置に固定し、応急処置をしましょう。矯正治療の進行に影響を与える可能性があるため、できるだけ早く受診することをおすすめします。
バンドが外れた
バンドが外れた場合は、自力で被せなおすのは困難です。また、外れかかった状態を放置すると、矯正効果が得られなくなったり、すき間に汚れが溜まり虫歯のリスクが高まるため、できるだけ早く受診してつけなおしてもらいましょう。
まとめ
受け口の症例に限らずワイヤー矯正では、ブラケットの安定化やバンドタイプの装置を使用する際に奥歯にバンドを被せることがあります。セパレーションの必要やお口の中のトラブル、メンテナンスの難しさなどデメリットはありますが、バンドの装着は矯正治療を進めていく上で重要な装置になります。矯正治療を開始する前に、どのような手段が取られ、どのような効果が期待できるのかをしっかりと理解し、納得した上で治療を進めることが大切です。
当院では多くの症例に対応できるようにさまざまな装置を用意し、患者さまに適切な矯正方法を提案しています。無料相談を随時実施しておりますので、歯並びが気になる方、これから矯正治療を検討している方はお気軽にご相談ください。