投稿日:2024.8.3
受け口(下顎前突)が原因で起こる顎関節症とは?
こんにちは。博多矯正歯科KITTE博多院です。
いつも当医院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
「最近、あごがカクカク鳴る…」「口を開けると痛い」
もしかして、それは顎関節症かもしれません。
実は、受け口が原因で顎関節症になることがあるってご存じでしたか?
受け口は、下の歯が上の歯よりも前に出ている噛み合わせのことで、顎関節に負担がかかりやすく、顎関節症を引き起こす原因の一つと考えられています。
そこで本記事では、顎関節症の症状や原因、受け口との関係、治療法について解説します。受け口で顎関節症かも?と不安な方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
顎関節症とは?
顎関節症とは、あごの関節やその周辺の筋肉に問題が生じて、口を開け閉めする際に痛みや違和感を感じたり、音が鳴ったりする病気です。
耳の穴のすぐ前に「顎関節」と呼ばれる場所があります。頭蓋骨と下あごをつないでおり、そこには「関節円板(かんせつえんばん)」と呼ばれるクッションの役割をする軟骨があります。
この関節円板に負荷がかかりすぎると、動きが悪くなったり、ズレてしまったりして、顎関節症を引き起こすのです。
顎関節症の原因は、関節円板だけではありません。歯ぎしり・食いしばりによるあごの筋肉の酷使などが原因となることがあります。
また、生まれつきあごの骨の形に特徴がある方も、顎関節症になりやすいと言われています。
症状
顎関節症の症状は、主に以下のようなことが挙げられます。
- 口が開かず食事がまともに取れない
- 口を開けると痛みが生じて話せない
- あごを動かすと「カクッ」「ジャリジャリ」といった音が鳴る
- あごの関節や周りの筋肉が痛む
- 肩こり・頭痛・耳鳴り・めまいが生じる
これらの症状が悪化すると、日常生活に支障をきたす可能性があります。
原因
顎関節症の原因はまだ完全にはっきりとわかっていません。しかし、以下のようなことが原因で発症すると考えられています。
- 歯並び・噛み合わせの乱れ
- 歯ぎしり・食いしばり
- 頬杖・うつぶせ寝など悪い姿勢
- 転倒や事故などの外傷
- あごの酷使
- 爪や唇を噛む癖
- 詰め物や被せ物の不適合
- 歯の摩耗による噛み合わせの変化
- ストレスによるあごの筋肉の緊張
これらが単独で顎関節症を生じている場合もあれば、いくつかが組み合わさって発症している場合もあります。
治療法
顎関節症の治療法は、症状や原因によってことなりますが、主な治療方法は以下の通りです。
生活指導
頬杖やうつぶせ寝、爪を噛む癖など日常生活の何気ない習慣が顎関節症の原因になっている場合は、まずこれらの習慣を意識してやめることです。
また、無意識に歯を食いしばっている場合は、上下の歯を少し離すように意識しましょう。
理学療法
顎関節症の治療は、物理療法や運動療法といった理学療法も行われることがあります。
物理療法では、顎関節やその周辺の筋肉のマッサージや、微弱な電流を流し筋肉の痛みをやわらげる低周波治療、組織の修復をうながすレーザー治療などが行われます。
運動療法では、ストレッチや開口量を増加させる訓練など行うのが一般的です。
薬物療法
痛み止めや筋弛緩薬などを服用し、顎関節や周りの筋肉の痛みをやわらげます。
スプリント療法
スプリント療法は、就寝時にマウスピースを装着して、歯ぎしり・食いしばりによる顎関節への負担を軽減する方法です。マウスピースは歯科医院で歯型に合わせたオーダーメイドで作成できます。
受け口が原因で顎関節症が起こる?
受け口とは、下の歯が上の歯よりも前に出ている噛み合わせのこと。専門的には「反対咬合」や「下顎前突(かがくぜんとつ)」と呼ばれています。
受け口は、下のあごが前に出ているため、本来の噛み合わせとは逆の状態です。本来スムーズに動くはずの顎関節が、受け口によって無理な動きを強いられ、関節や周りの筋肉に負担がかかってしまうのです。また、受け口の方は、食べ物を噛むときにあごの筋肉を酷使してしまう傾向にあります。
この負担が長年蓄積されると、顎関節症を発症しやすくなる可能性が高くなるのです。
若い頃は顎関節や周りの筋肉が柔軟なので、受け口による影響を感じにくい場合もありますが、年齢を重ねるにつれて顎関節や筋肉が衰え、顎関節症の症状が現れやすくなることがあります。
また、受け口は顎関節に影響を与えるだけではありません。受け口は、下の歯が上の歯よりも前に出ているため、奥歯でしっかりと噛みしめにくくなります。そのため、食べ物をすりつぶす際、通常よりも奥歯に強い力がかかってしまうのです。
この状態が続くと奥歯がすり減ったり、欠けたりしやすくなり、歯の寿命にも影響を及ぼす可能性があります。また、歯の根っこに負担がかかると、歯周病のリスクも高まります。
受け口の治療法
受け口には、歯並びが原因で起こるタイプと、あごの骨格が原因で起こるタイプの2種類があります。
歯並びが原因の場合は、歯列矯正で改善できる可能性が高いです。一方、骨格が原因の場合は、外科手術が必要になることもあります。
ここでは、それぞれの原因に合わせた治療法を紹介します。
ワイヤー矯正
歯にブラケットという小さな装置をつけ、そこにワイヤーを通して歯を動かす矯正方法です。
歯を動かす力が強いので、歯並びが原因の軽度~中等度の受け口、抜歯を必要とする症例にも対応しています。ワイヤー矯正には、歯の表面に装置をつける表側矯正と、歯の裏面に装置をつける裏側矯正(舌側矯正)があります。
表側矯正は、費用が比較的安いですが、装置が目立つのがデメリットです。一方、裏側矯正は、装置が目立たないのが最大のメリットですが、費用が高く、舌に違和感を覚えやすいといったデメリットがあります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、理想の歯並びに近づけたマウスピースを1~2週間ごとに交換しながら歯並びを整える方法です。1日20時間以上の装着が必要になります。
マウスピースは透明なので目立ちにくく、取り外しができるため、日常生活への支障が少ないのがメリットです。また、プラスチック製であるため、金属アレルギーの心配もありません。しかし、軽度の歯並びの乱れにしか対応していないため、中等度~重度の受け口は改善が難しい場合があります。
外科矯正
あごの骨格自体に問題がある場合は、歯列矯正だけでは改善が期待できません。
このような場合は、外科矯正が必要です。外科矯正では、全身麻酔下であごの骨を切断し、位置を調整します。下あごを後ろに下げたり、上あごを前に出したりすることで、噛み合わせを整えます。
外科矯正は入院が必要な大がかりな手術です。また、手術後も歯列矯正を行う必要があるため、治療期間が長くなり、費用も高額になる傾向があります。
まとめ
顎関節症は、あごの関節や周りの筋肉に異常が起こる病気で、放置すると口が開かなくなったり、食事や会話に支障が出たりする可能性があります。
受け口は、顎関節に負担をかけやすく、顎関節症を引き起こす原因の一つと考えられています。また、顎関節症を引き起こすだけでなく、奥歯の寿命が短くなる可能性も。
受け口は歯列矯正や外科矯正で改善が可能です。少しでも気になる症状がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
当院では、矯正相談を行っております。受け口でお悩みの方はもちろんのこと、顎関節症で歯並びに原因があるかどうか知りたい方も、お気軽にご相談ください。「まずは相談だけ」という方も大歓迎です。あなたのお悩みをぜひお聞かせください。