投稿日:2021.10.15
歯周病でも矯正治療できる?歯並びと歯周病の関係
こんにちは。博多矯正歯科KITTE博多院です。
いつも当医院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
「歯周病になっていると矯正治療が受けられない?」
このような疑問を持っている方もいるでしょう。今回は歯周病とはなにか、歯周病でも矯正治療を受けられるのかなどについてお話ししていきたいと思います。
目次
歯周病とは?
歯周病とは歯ぐきに炎症が起こる病気のことです。歯周病の初期状態は痛みがないため、自覚症状がほとんどありません。しかし、進行すると出血や膿が出ます。この段階までに適切な治療を受けずに放置するとあごの骨が溶けて、最終的には歯が抜けてしまうことも。
歯周病は30歳以上の3人に2人がかかっていると言われており、大人の矯正治療では注意が必要になります。これから矯正治療を検討している方は、まずはご自身の歯の健康をチェックしてみましょう。
歯並びと歯周病の関係
歯並びが悪いと以下のような症状が引き起こされることがあります。
- 食べ物がうまく噛めない
- 歯が磨きにくく虫歯や口臭の原因につながる
- 歯周病になりやすい
- うまく発音ができない
- 見た目の悪さから劣等感を覚える
歯並びが悪いと歯周病になりやすいだけでなく、さまざまな悪影響を及ぼします。
では、歯並びと歯周病はどのように関係してくるのでしょうか。歯並びが直接歯周病の原因になるわけではありません。
歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくく、プラーク(歯垢)が溜まりやすくなることから、歯周病につながるのです。
また、プラークは唾液に含まれるミネラルと混ざることで歯石へと変化します。歯石の表面はザラザラしているため、さらにプラークがつきやすい状態になり、歯周病を悪化させてしまうのです。
さらに、歯周病になると歯を支える骨が溶けるため、歯並び自体も変化します。ただ、加齢や頬杖などの癖によって悪くなることもあります。
歯周病でも矯正治療できる?
「歯周病に罹患している方の矯正治療はできない」と耳にしたことがある方もいるでしょう。歯周病に罹患していても歯周治療を受け、症状が安定した状態であれば矯正治療を始められます。また、矯正中は、定期的に歯周病の状態をチェックし、必要に応じて歯周病治療を続けることが重要です。
しかし、歯周病により歯並びが悪化してる重度の場合は、矯正治療が推奨されません。歯周ポケットが4mm以上あり、その中にプラークや歯石などが存在すると歯周病菌の活動が活発になり、歯周病を進行させてしまうことがあるからです。そのため、重度の歯周病の方への矯正は困難な場合もあります。
歯周病のまま矯正治療を受けるとどうなる?
歯周病を患っている方でも、矯正治療を開始する前に歯石の除去や歯周ポケット内のクリーニングなどの歯周病治療を受け、症状が安定した場合には矯正治療を行うことが可能です。しかし、適切な治療を受けずに矯正治療を進めてしまうと、以下のようなリスクを引き起こす可能性があります。
歯周病が悪化する
歯周病は歯ぐきや歯を支える骨が弱まっている状態です。適切な治療を受けないまま矯正治療を進めてしまうと、さらにダメージを与えてしまい歯周病の進行を加速させてしまうことがあります。
歯の移動が速い
歯周病が原因で歯を支える骨が溶けている場合、通常よりも歯が速く動くことがあります。一見良いことのように思えるかもしれませんが、実際は歯ぐきや歯を支える骨に過度のストレスを与えてしまい、その結果、歯肉退縮や歯が抜け落ちるリスクが高まります。
歯肉退縮が起きやすい
歯肉退縮(しにくたいしゅく)とは、歯ぐきが下がり歯が長く見えてしまう状態のことです。原因は強いブラッシング圧や不適切な矯正力、歯ぎしり・食いしばりなどがあります。
歯周病は進行すると歯を支える骨が溶けてしまうため、歯肉退縮が起こりやすい状態です。
歯が抜けてしまうリスクがある
進行した歯周病は、骨が溶けている状態になるため、歯をしっかりと支えることができません。
特に、重度の歯周病は、すでにかなりの歯を支える骨が失われています。その状態で矯正力を加えると歯をきれいに並べられても噛む力に耐えられず、歯が抜けてしまうリスクがあります。そのため、歯周病の方は矯正治療の前にしっかりと歯周病治療を行い、歯周組織の健康を回復させる必要があるのです。
歯周病がある方は歯周病治療を優先
重度の歯周病は、歯を支える骨が減少しているため、歯が安易に動くようになります。しかし、歯周病が十分にコントロールされておらず、進行しやすい状態で矯正力を加えてしまうと、悪化させてしまうリスクがあります。
そのため、矯正治療を開始する前には精密検査を実施し、歯周病が確認された場合はまずその治療を行います。歯周病治療により歯周ポケット内の細菌量を減らし、歯ぐきと骨の安定を確保した上で矯正治療を開始するのが一般的です。
また、矯正中は虫歯や歯周病のリスクが高まるため、プラークコントロールに注意を払う必要があります。もちろん、治療完了後も歯周病を再発させないように、徹底したセルフケアと定期的な歯科検診を受ける必要があります。
歯周病がある方の矯正方法は?
歯周病に罹患している方の矯正治療は注意が必要ですが、用いられる装置は通常の矯正治療と変わりません。ここでは、主な矯正方法を2つ紹介します。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正とは、歯にブラケットをつけてワイヤーを連結させて歯を動かす矯正方法です。ワイヤー矯正には、歯の表面に装置をつける表側矯正と、歯の裏側に装置をつける裏側矯正(舌側矯正)があります。裏側矯正は前から装置が見えないので、周囲の人に気づかれずに矯正治療を進められます。
ただし、ワイヤー矯正は矯正治療が完了するまで装置が歯についたままになるため、歯ブラシが届きづらく歯周病のリスクが高くなりがちです。そのため、丁寧なセルフケアと定期的なクリーニングで歯ぐきの健康状態を考慮しながら治療を進める必要があります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、取り外しができる透明なマウスピースを使って歯を動かす矯正方法です。1日20時間以上装着し、定期的に新しいものに交換しながら歯を少しずつ動かしていきます。歯磨きの際は外せるため丁寧なセルフケアができ、ワイヤー矯正よりも歯周病を悪化させるリスクが低いです。
ただし、マウスピース矯正は適応症例が限定されているため、全ての方が行える方法ではありません。どの装置が適しているかは、精密検査を受ける必要があります。
歯周矯正治療
歯を正しい位置に動かして、噛み合わせの負担を分散させる目的で行われる矯正治療です。歯周病に罹患した方の歯周治療の一部として考えられています。
ただし、適応されるのは軽度の歯周病のみ。また、矯正中も定期的に歯周病のチェックを行い、悪化を防ぐためにクリーニングが必要になります。
まとめ
歯周病に罹患している方は歯周治療を行い、症状が安定した状態であれば矯正治療を受けられます。また、軽度の歯周病は重度になる前に歯並びを良くすることで歯周病予防につなげることも可能です。
歯並びを整えることは見た目を整えるだけではなく、お口の中を清潔に保つためにも欠かせません。矯正治療を通じて大切な歯を長持ちさせていきましょう。
当院では無料相談を実施しています。歯周病がある方で矯正治療を検討している方は、お気軽にご相談ください。