投稿日:2023.6.21
矯正治療を途中でやめたくなったら
歯並びや噛み合わせ改善のために始める矯正治療。しかし、中にはいざ初めてみたらその痛みや煩わしさから、途中で治療を中断したいと思う方も少なくないようです。
このように矯正中に治療をやめたくなったら、そのままやめることができるのでしょうか?今回は、矯正治療を途中でやめることができるのか、実際にやめることで起きる事についてのお話をしていきます。
目次
矯正治療は途中でやめることができる?
歯列矯正は、部分的であれば約半年〜1年、全体的であれば2〜3年と、長い期間を要する治療です。本来であれば、歯並びと噛み合わせを改善するために歯を動かし、その後歯並びを安定させるための保定期間を経て治療が完了します。
「治療が完了する前に途中でやめることができるか?」という問いに対し、YESかNOかだけで答えるのならば、それはYESです。
矯正治療はあくまでクリニックと患者さんの双方の合意の上に成り立っており、治療をやめたいという患者さんに対し、ドクターは強制的に治療を継続させるということができないためです。
しかし、治療を中途半端な状態で治療をやめてしまうと、いくつかの弊害が起こりやすいことから、このような中断を好ましく思うドクターはいないといってよいでしょう。
途中でやめるとどうなる?
歯並びと噛み合わせの悪化
矯正治療は、歯並びや噛み合わせの問題を改善するための治療です。ですが、治療を途中でやめてしまうと、歯の位置が完全に修正されず、歯列や噛み合わせの問題が残ることになります。
また、中途半端な状態で治療をやめてしまうことで、奥歯が噛みにくくなり、治療前よりもかみ合わせが悪化してしまう可能性も少なくありません。
さらに抜歯をした場合は、隙間を閉じきる前にやめてしまうと、抜歯をして歯がない部分の骨がどんどん無くなってしまい、再治療をしても隙間が閉じ切れないというリスクも出てきます。
歯列が元に戻る
歯列矯正を途中で終了すると、治療中の進捗が失われて歯が元の位置に戻る「後戻り」のリスクが高くなります。ただ元に戻るだけでなく、未完成の治療と後戻りによって歯列や噛み合わせの不正がより増悪することも懸念点です。
心理的なストレス
通常、歯列矯正は治療後歯に対する自信に繋がることで、患者さんにポジティブ影響をもたらします。しかし、治療を途中でやめると、予期した結果が得られないことで患者さんに心理的な悪影響を与え、強い不安やストレスを引き起こすことも考えられます。
経済的な損失
矯正治療は特定の疾患以外は健康保険が適用されず、すべての処置が自費治療です。
クリニックの契約書にもよりますが、患者さん都合で治療をやめるということになった場合、基本的には支払った治療費が返還されることはありません。
矯正治療をやめたくなったら?
どうしても矯正治療をやめたくなったら、まずは治療を担当しているドクターに相談しましょう。不安や疑問を解消することで、治療に対する気持ちの変化があるかもしれませんし、話し合いによって治療計画の修正が可能になるかもしれません。
ただ、自己判断で勝手に受診をやめてしまったり、ドクターの相談なしにセカンドオピオンを受けることは絶対にやめましょう。このような行動は、患者さんご自身だけでなく、クリニック間の大きなトラブルにも繋がりかねません。
まとめ
歯列矯正は理論上、治療の途中でもやめることは可能ですが、今回お話したような多くのリスクが生じるため、治療を打ち切ることはおすすめできません。
実際に治療を始めてから「こんなはずじゃなかった」と思わないためにも、矯正治療前にはしっかりとご自身でも治療内容の下調べを行い、複数のクリニックでカウンセリングを受けましょう。