投稿日:2022.5.25
自然災害と口腔環境
皆さんこんにちは!
暑さも本格的になり、博多を行きかう方々の装いも夏仕様に変わってきました!
これからの時期、突発的なゲリラ豪雨や台風、それに伴った土砂災害など災害が増えてきます。
歯科と災害…関係ないんじゃない?と思っていませんか?
実は災害が口腔環境に大きく影響するケースがありますので今回はその意外な繋がりについてお話いたします。
口腔内の健康は全身の健康
口腔環境は体の健康と密接に関係しており、例えば歯の汚れを放置すると虫歯や歯周病になるリスクが高くなりますが、その影響で全身疾患に繋がる恐れもあります。
なぜ、全身に影響があるのかというと、口腔内の血管や神経が全身に繋がっているからです。
その為、口腔内で菌が悪さをするとその菌が歯肉の血管を通って心臓血管疾患、糖尿病、脳梗塞などを引き起こしたり、老齢の方ですと誤嚥性肺炎を引き起こしたりする可能性が高くなり、結果的に全身疾患に繋がっていきます。
ちなみに、歯周病の妊婦さんは低体重児早産のリスクが罹患してない人に比べて実に7倍も高くなることが分かっています!
以上の様に、お口の健康と全身の健康が関わっているという事をご理解頂けたと思います。
避難生活と口腔環境
前項で口腔内と全身の健康の関りについてご説明したところで、このブログのタイトルである災害と口腔環境の関りについてご説明していきます。
自然災害が発生すると災害の大きさによっては避難生活を余儀なくされることがありますがそういった場合に口腔環境が悪化して健康に影響するケースがあります。
避難生活では、物資が行き届かないことが多いですが、避難地域に優先して届けられるものは食料や水です。
更に被災後、自治体がその機能を取り戻すのは被災からおおむね4日以降で支援物資が到着するのはそれからです。
それまでは、自分で備蓄したものや各自治体で備蓄した物を分け合って凌ぐ必要があります。
このような環境で、口腔環境の衛生を保つことは後回しにされ、誤嚥性肺炎を引き起こした際にも口腔内の菌が悪さをして肺炎を引き起こす原因になります。
阪神淡路大震災でも災害関連死のうち全体のおよそ3割が誤嚥性肺炎でそのうちの大半が口腔環境が影響しているという調査結果が出ています。
このようなことから阪神淡路大震災以降、災害時の口腔ケア派遣も重要視され始めました。
防災セットの準備
災害大国と言われる日本では、防災セットを各家庭でご準備しているところも多いと思います。
しかし、飲料水や食料、防寒着などが準備される中で見落とされがちなものが歯磨きセットです。
セット販売されている商品の中には歯磨き粉と歯ブラシが入っているものもありますが、ほとんどが1セットだけだったりするので、避難期間はどれくらいかかるか分かりませんので少し余裕をもって準備しておきましょう。
また、被災した際に優先されるのは飲料水ですので、水が大変貴重になります。
その為、水を使用しなくて良いマウスウォッシュなどを一緒に準備しておくと安心です。
その他の防災関連情報については下記サイトを参考にすると分かりやすいです。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html
首相官邸公式ホームページ 「災害に対するご家庭での備え」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000122257.html
厚生労働省 「災害時のお口(くち)のお手入れについて」
終わりに
口腔環境が災害と関係していることがお分かり頂けたでしょうか。
お口の健康は全身の健康ですので、災害時だけではなく日頃から口腔ケアをしっかり行うように心がけましょう。
ご自身での口腔ケアももちろん大事ですが、歯が痛くなってから歯医者に行くのではなく定期健診でお口の状態を把握しておくと虫歯や歯周病のリスクも下がります。
また、歯磨きセットは食料などと違い保管できる期間も長いですので、このブログをきっかけに一度防災セットに加えて頂けると有事の際に役立つかと思います!