投稿日：2023.12.6

顎関節症の治療方法

こんにちは。博多矯正歯科です。今回は、前回お話した「顎関節症」についての続きです。
前回お話した記事では“顎関節症とはどんな症状なのか”や”歯ぎしりとの関係性”などをお伝えしました。

 

今回は顎関節症を治療することは可能なのか、可能だとしたらどんな治療方法があるのかについてお伝えしていきたいと思います。
大前提として、顎関節症に対して完治という言葉は使いません。
ですが顎関節症に対する治療方法は存在しています。では一体何を目的に治療をするのでしょう。
それは、「顎関節症を発症している方たちが自分自身で顎関節症に対して管理できるようになること」を目的とし、それに向かって治療を進めていきます。
というのも、一度ずれてしまった関節円板は多くの場合、元の位置に戻ることがなく、ずれたままなのです。

 

だからこそこれ以上機能的な障害を発症させないように、再発を防ぐために、顎関節症の治療はあります。
機能的障害がなくなるとはどういうことか、

「痛みなく指を３本縦にしてすっと口に入る」

「ガムを15分噛める」

「朝の開口障害がない」

などです。
日常的にカクカクするような音はあっても問題ありません。ここまでできたら顎関節症の治療の目的を達成したと言っていいでしょう。
では実際にどんな治療方法があるのかご紹介します。

スプリント療法（マウスピース治療）

スプリント療法は寝ている間にマウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりによる負担の軽減や改善を促し、顎関節症の症状を軽減するという治療法です。
就寝時に発症する歯ぎしりや食いしばりは精神的なストレスやかみ合わせの異常など口腔内環境のストレスから発症し、それらは食事の時にかかる負担の2倍にもなると言われています。
顎関節症に使用するマウスピースは症状や改善目的に応じて製作されます。そしてそれらに使用するマウスピースはいくつか種類があります。
ここでは、そちらも紹介していきたいと思います。

前歯接触型スプリント

前歯のみが接触するマウスピース。
開口反射を誘発させて、口を開く筋肉の活性化と口を閉じる筋肉の緊張を緩和させます。

全歯列接触型スプリント（スタビリゼーションスプリント）

上下のすべての歯を均等に接触させるためのマウスピース。
咬合接触やかみ合わせの異常をマウスピースが吸収することで、一部の歯への過度な接触がなくなり下顎が安定します。
咀嚼筋などの筋肉の緊張が和らぎ、顎関節症の症状を緩和させます。

前方整位型スプリント

上顎または下顎の全歯列に装着するマウスピース。
顎関節に異音が生じる場合に症状の緩和を目的として使用されます。

ピボット型スプリント

奥歯のみが噛み合うようにする。上顎全体か下顎の全体に装着するマウスピース。
顎関節の痛みによる開口障害を改善させる目的で使用します。

かみ合わせ治療

スプリント治療によって症状が落ち着いてきたらかみ合わせを確認し、顎関節に負担がある要因を取り除く治療です。
必要なかったり要望がない場合は行わない治療になります。

歯科レーザー治療

顎関節の痛みを感じる部分にレーザーを照射して、筋肉や顎関節に蓄積した老廃物を排除し、血液やリンパ液の循環を高める治療法。
血行が改善し、顎関節の筋肉が動かしやすくなります。それに伴い痛みなども緩和されます。

顎関節・筋機能訓練

顎関節症を引き起こす場合の多くは、顎の筋肉の運動にも影響を及ぼします。
顎関節症によって疲弊した顎の周囲の筋肉をマッサージでもみほぐし、痛みなどを緩和させる治療です。

リハビリトレーニング（セルフトレーニング）

近年自宅でトレーニングする傾向が増えてきており、多くのトレーニング法が発案されています。
自宅でのトレーニングの際の注意点として、症状が安定しているときにトレーニングをすると改善が早まりますが、逆に症状を発症しているときは顎関節悪化する可能性がありますので、周囲の筋肉に負担をかけないよう安静にしてください。

 

以上が治療方法になります。
読んで頂いた通り歯列矯正は顎関節症の治療そのものではありませんのんで、ご注意ください。
あくまで、かみ合わせを改善し顎への負担を減らすという対処療法になります。