投稿日:2022.2.26
歯周病が全身に及ぼす7つの悪影響
こんにちは。博多矯正歯科 KITTE博多院です。
いつも当医院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
歯周病は歯を失う原因の一つとして知られていますが、実はお口の中だけでなく全身の健康にも悪影響を及ぼすのをご存じですか?今回は歯周病とはなにか、全身に及ぼす7つの悪影響などについてお話しします。
目次
歯周病ってどんな病気?
私たちのお口の中には約300~500種類の細菌が生息しています。歯磨き不足などにより食べかすが溜まったままになると、それを細菌がエサにして「プラーク」と呼ばれるネバネバした白い塊を作り出します。1mgのプラーク中には約10億個のも細菌が存在しており、取り除かれずに残ると細菌の繁殖が進み、むし歯や歯周病の原因になるのです。
歯周病はお口の中のプラークが原因で歯ぐきに炎症を引き起こします。歯周病は「歯肉炎」と「歯周炎」の2つの段階があり、歯肉炎は歯ぐきが赤く腫れる初期段階です。進行すると歯と歯ぐきの間の「歯周ポケット」が深くなり歯周炎に発展します。
適切な治療を受けないまま放置すると、歯を支えている骨が溶けて歯が抜け落ちてしまう可能性が高まります。
歯周病のチェックリスト
歯周病に罹患しても初期段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないため、気づかずに進行し状態が悪化するケースがあります。以下のような症状が見られる場合は、歯周病の疑いがあります。
- 歯ぐきに赤みや腫れがある
- 歯みがきやフロスの際に出血する
- 口臭がする
- 歯ぐきが下がって歯が長く見える
- 冷たいものや温かいものがしみる
- 歯と歯の間に食べ物が挟まりやすい
- 歯がグラグラと揺れている
歯周病の初期段階では、しっかりとセルフケアをすれば改善が期待できることもあります。しかし、上記の症状が多く当てはまり、セルフケアによる改善が見られない場合は歯科医院への受診をおすすめします。
歯周病が全身に及ぼす7つの悪影響
歯周ポケットの中に蓄積されたプラークは潰瘍を形成します。すべての歯に5mmの歯周ポケットがある場合は、手のひらほどの大きさの潰瘍が存在することと同じです。この状態は、細菌が血流に入り込むリスクを高め、結果として以下のような全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
敗血症
歯周病菌は常にお口の中に存在しているため、免疫力が落ちると血流を通じて体内に入り込み、敗血症を引き起こすリスクが高まることがあります。敗血症は全身の臓器に炎症を引き起こす病気で重篤な状態です。特に高齢者や免疫力が弱っている方はリスクが高いため、歯周病の早期発見・早期治療が非常に重要です。
感染性心内膜炎
心不全や心臓弁の置換手術を経験した高齢者は、お口の中の細菌が血管を通じて心臓に達し、心内膜や人工弁に付着して繁殖することで感染性心内膜炎を引き起こすことがあります。心疾患がある方や免疫力が衰えている高齢者は、定期的な歯科検診と口腔ケアが重要です。
脳卒中
歯周病と脳卒中との関連は研究により指摘されています。歯周病により炎症が全身に広がると、炎症を引き起す物質であるサイトカインが動脈の内膜に影響を与え、血管の内壁を傷つけることで動脈硬化を進行させる可能性があるのです。
歯周病菌は血小板を固まりやすくする作用があります。血小板の塊が血流に乗って移動し、血栓を形成して脳の血管を塞ぎ、脳卒中を引き起こす可能性もあります。
糖尿病
歯周病は糖尿病を悪化させると考えられています。歯周病菌が産生する毒素が血液中に入り込み、血糖値の変動に影響を与えて血糖コントロールを難しくするのです。
また、血糖コントロールが難しくなると感染に対する抵抗力が低下し歯周病のリスクも高くなります。逆に言えば、歯周病の治療と予防が糖尿病を管理しやすくなるとわかっています。
低体重児出産や早産の可能性
歯周病原菌の病原因子刺激によって産生されたサイトカイン(インターロイキン、インターフェロンなど)の作用として、妊婦に対して低体重児出産(2500g以下)を促すことが報告されています。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎は、飲み込んだ際に食物や液体が気管ではなく肺に入ってしまい肺炎になる病気のことです。歯周病に罹患し、細菌が多いと誤嚥性肺炎のリスクが高まります。歯周治療や口腔ケアでお口の中の細菌量を減らすと、そのリスクを軽減させることが可能です。
早産・低体重児
妊娠中の女性が歯周病に罹患していると、早産や低体重児出産のリスクが高まるとされています。歯周病による炎症が強くなると、プロスタグランジンと呼ばれる物質が増えるためです。これは、じん痛促進剤として使用される物質で、子宮の収縮や子宮頚部の拡張を促してしまいます。妊娠を計画している方や妊娠中の方は、歯周病予防と治療に注意を払う必要があるのです。
毎日のケアと定期的な歯科検診で歯周病予防を
歯周病は、毎日のケアと定期的な歯科検診によって予防することが可能です。
まずは正しいブラッシング方法を身につける
正しいブラッシング方法は歯周病予防の基本になります。歯ブラシを45°の角度で歯と歯ぐきの境目にあてて、優しく小刻みに動かしましょう。その際に歯ぐきを傷つけないように注意が必要です。また、電動歯ブラシを使用すると効率良くプラークを取り除けます。
歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシを使用する
歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシも併用することをおすすめします。フロスや歯間ブラシは、歯ブラシだけでは清掃が難しい歯と歯の間に溜まったプラークを効果的に除去することが可能です。
毎日使用するのが理想的ですが、まずは定期的にフロスや歯間ブラシを使用して習慣を身につけましょう。
定期的に歯科検診を受ける
1~3ヶ月に1回は歯科検診を受けることも大切です。歯ブラシでは取り除けないプラークや歯石を徹底的に除去できることに加えて、歯周病の初期症状を見逃さずに済みます。
毎日のケアと定期的な歯科検診を組み合わせることで、歯周病のリスクを減らし、お口と全身の健康を維持できます。
生活習慣を見直す
生活習慣の見直しは歯周病予防だけでなく全身の健康を守る基本になります。たとえば、ビタミンやミネラル、カルシウムなどを豊富に含む食品を積極的に摂取しましょう。また、喫煙は歯ぐきの血流を悪化させて歯周病の進行を早めてしまう原因の一つです。禁煙することで歯周病の発症や進行を抑えられます。
矯正治療を受ける
矯正治療は歯並びの見た目を整えるだけでなく、お口の健康を向上させるメリットがあります。歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくく、食べかすやプラークが溜まりやすくなります。これにより、歯周病のリスクが高まってしまうのです。
歯並びを整えることによってブラッシングやフロスが行いやすくなるため、歯周病予防にも有効です。また、正しい噛み合わせを得られることで、噛む力が分散されて歯や歯ぐきの負担も軽減できます。さらに発音の改善や顎関節症のリスク減少など、さまざまなメリットも期待できます。
まとめ
歯周病はお口の中の細菌によって歯ぐきに炎症を起こす病気で、放置すると最終的に歯が抜け落ちてしまう可能性があります。また、歯周病によって形成された歯周ポケット内には、潰瘍を作り出し、全身に以下の問題を引き起すリスクがあります。
- 敗血症
- 感染性心内膜炎
- 脳卒中
- 糖尿病の悪化
- 低体重児出産・早産
- 誤嚥性肺炎
歯周病の治療は日々のブラッシングが重要になります。正しいブラッシング方法で毎日実行し、定期的に歯科検診を受けてプラークのない清潔な状態にしていきましょう!