投稿日:2022.6.4
デジタル矯正で使用する3D光学スキャナー「iTero(アイテロ)」って何?
こんにちは。博多矯正歯科 KITTE博多院です。
いつも当医院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
近年では、歯科医療の分野でもAI化が進み、お口の中をスキャンするだけで歯型取りができる機器が誕生しています。その中で代表的なものが、3D光学スキャナー「iTero」です。今回はiTeroについて、できることや特徴など紹介します。
目次
デジタル矯正とは?
デジタル矯正とは、歯科用CTや口腔内スキャナーといったデジタル機器を活用した矯正治療のことです。従来の方法では、治療計画の立案や矯正後の歯並びの予測、装置の作製など、すべて手作業で行われていました。そのため、多少の誤差が生じやすく、治療結果が歯科医師や歯科技工士の技術に大きく依存してしまいます。
一方で、デジタル矯正ではこれらの工程がデジタル化されているため、装置の精度が高まり、治療開始までの期間を大幅に短縮することが可能です。
3D光学スキャナー「iTero」とは?
iTeroとは、マウスピース矯正「インビザライン」と同じアラインテクノロジー社が開発した製品で、歯型取りができる口腔内スキャナーです。
小型カメラをお口の中に入れて、歯列をなぞるだけで精密な歯型データを採ることができます。その時間は、わずか1分。従来のような粘土を使った型取りと異なり、固まるまで待ったり苦しい思いをする必要がありません。
現在、iTeroには複数のモデルが存在しており、「iTero エレメント 5D プラス」、「iTero エレメント 5D」、「iTero エレメント2」、「iTero エレメント・フレックス」など、それぞれ異なる機能を備えた機種が提供されています。
iTeroでできること
iTeroは機種によって異なりますが、以下のようなことができます。
歯型取り
iTeroは、主にマウスピースや詰め物・被せ物の製作に必要な歯型データの取得に用いられます。
虫歯の発見
一部の機種では、近赤外線(NIRI)を活用した虫歯の検出機能が備わっています。見過ごされがちな歯間の虫歯や初期虫歯を早期に発見することが可能です。レントゲン撮影と異なり、放射線を使用しないため、妊娠中の方も安心して虫歯検査ができます。
矯正治療のシミュレーション
シュミレーションソフトを使用すれば、治療開始前に歯が動く過程や治療後の歯並びの予想を確認できます。結果の具体的なイメージを持つことができるため、安心して治療を始められます。
iTero6つの特徴
iTeroには、以下の特徴があります。
型取りの負担を大幅に軽減できる
従来の歯型取りでは、「アルジネート」と呼ばれる印象材やシリコンを用いるのが一般的でした。大きな塊がお口の中に入るため、苦しい思いをしたことがある方も多いのではないでしょうか。
iTeroは小型カメラで歯列をなぞるだけなので、型取りの際に生じる心身への負担を大幅に軽減できます。ただし、全ての症例でiTeroが使えるものではないため、嘔吐反射がある方型取りに不安がある方は、どのような方法で型取りを行うのか事前に確認しておきましょう。
治療時間の短縮が可能
従来の歯型取りは、アルジネートやシリコンが固まるまで5分程待たなければなりません。また、材料の変形などによって型取りし直すこともあり、この場合は治療時間が長くなったり再度来院するトラブルが起こることもあります。
一方、iTeroは操作に慣れている方が行えば、最短1分で歯型取りが行えます。取った歯型をその場でチェックでき、トラブルが起きた際も再来院の必要がなく治療時間の短縮が可能です。
マウスピース矯正が早く開始できる
従来の歯型取りでは、マウスピース(アライナー)を作製するために歯型をアメリカの工場に空輸する必要があり、治療開始まで1ヶ月以上かかることがありました。
しかし、iTeroを使用すれば、歯型のデータをすぐに送信できるため、従来の方法に比べて早く治療を開始することが可能です。
精度の高い歯型りが可能
従来の歯型取りでは、採った歯型に石膏を流して模型におこす必要があります。その段階で少なからず誤差が生じ、マウスピースや被せ物といった制作物のずれが生じることも少なくありません。
一方、iTeroは、小型カメラで連続撮影を行い、3D画像として再現できます。細かいところまで正確に再現できるため、精度の良いマウスピースや被せ物の作製が可能です。
その場で歯並びのシミュレーションが可能
iTeroで撮影したデータは、コンピュータ上で3D画像に変換され、その場で歯並びが整うまでのシミュレーションが行えます。矯正前にどのような歯並びになるのかを確認した上で治療を進められるため、安心です。
安全性が高く衛生的
iTeroは光学スキャンを用いています。放射線など身体へ悪影響を及ぼすものは含まれていません。また、小型カメラには取り外し式のカバーを装着し、患者さんごとに交換していくため、衛生的です。
iTeroによるマウスピース矯正の流れ
ここでは、iTeroを使ったインビザラインの歯型取りの流れを紹介します。
iTeroで撮影
まず、お口の状態を確認し、小型カメラを用いて歯列全体をなぞっていきます。次に、噛み合わせの状態をスキャンします。
スキャンした歯型を確認
スキャンした歯型は、iTeroのモニター画面で直接確認できます。しっかりと歯型が採れているか、不備がないかを確認します。万が一、問題が見つかった場合、すぐに再スキャンを行うことが可能です。
マウスピースの作製
撮影したデータは、マウスピースを作成している技工所へ転送されます。物理的な歯型を送る必要がないため、損傷や遅延のリスクも低減され、作製期間が大幅に短縮できます。
治療開始
マウスピースが医院に到着したら、治療開始です。初回はマウスピースのフィット感を確認し、着脱の練習などを行います。この段階で気になる点や不安なことがあれば、歯科医師・スタッフにお気軽に相談してください。
経過観察
1~3ヶ月ごとに来院していただき、進捗度を確認やアタッチメントの装着など必要な処置を行います。
保定装置の作製
歯を動かす期間が完了したら保定期間に移行します。保定期間は、動かした歯が元の位置に戻らないようにするための大切な期間です。「保定装置」と呼ばれるマウスピース型の装置を作製します。
まとめ
iTeroは、デジタル矯正に欠かせない機器です。歯型取りが苦しくなく、1分ほどで終わるので歯型取りが苦手な方も、ご安心ください。
当院では、無料カウンセリング→検査→診断→契約→治療開始の流れでデジタル矯正を開始します。検査内容はパノラマ・CT撮影、iTeroを使ったスキャニング、印象(型取り)です。iTeroのカメラ部分は小型化されており、口を開けるのが困難な方でも歯型スキャンを受けられます。
カウンセリングの際には、iTeroを使ったスキャニングの動画をご覧いただけますので、詳細についてはお気軽にお尋ねください。