投稿日:2023.4.8
部分矯正と全体矯正の違い~メリット・デメリット~
部分矯正と全体矯正の違いをご存じですか?
「費用の安さ」や「治療期間の短さ」を重視して部分矯正を希望する方は少なくありませんが、場合によっては全体矯正のほうがメリットを多く得られます。2つの違いを明確にして、納得のいく治療につなげましょう。
こちらのページでは、部分矯正と全体矯正の違いを注意点も含めて分かりやすくまとめました。これから矯正治療を始める予定の方は、ぜひご参考ください。
目次
部分矯正と全体矯正の7つの違い
納得のいく治療にするには、治療法ごとの特徴や違いを正しく知ることが大切です。部分矯正と全体矯正の特徴や違いを以下でみていきましょう。
治療範囲
部分矯正は、部分的に治療を行うものであるため治療範囲が狭く、対象は前歯のみの場合がほとんどです。一方全体矯正は、親知らず以外のすべての歯を対象としています。
かかる費用
矯正治療は「審美目的で行う治療」であるケースが多く、基本的に自費診療です。顎骨が大きくずれていて噛めないなど、通常の生活が難しい特殊なケースでない限り保険は適用されません。
部分矯正の費用相場が10万〜70万円なのに対し、全体矯正の費用相場は60万〜150万円で、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらを選ぶか、また歯科医院によっても金額は異なります。
必要な治療期間
部分矯正の治療期間の平均が半年〜1年なのに対し、全体矯正の治療期間の平均は2〜3年と長めです。治療を中止すると後戻りがおこり、場合によってはもとの状態より見た目やかみ合わせが悪くなる恐れがあります。後戻りは治療範囲に限らずおこる現象ですので、部分矯正と全体矯正どちらを選んでも対策は必要です。
治療の痛みの大きさ
治療範囲が狭い部分矯正は、全体矯正にくらべて痛みが少ない傾向にあります。しかし、歯が動く以上まったく痛くないわけではありません。痛みの感じ方には個人差があり、ワイヤー矯正かマウスピース矯正かによっても異なります。施術者の力加減によって痛みが左右されやすいワイヤー矯正よりも、痛みの差があまりないマウスピース矯正のほうが調整時の負担は少ないといえるでしょう。
装置の違和感の大きさ
部分矯正は、全体矯正よりも装置がつく範囲が狭いため、違和感が少ない傾向にあります。違和感の大きさは装置の種類でも異なり、ワイヤー矯正よりマウスピース矯正のほうが装置が薄いため違和感が少なめです。マウスピース矯正の場合は部分矯正でも全体にはめる装置を使用しますので、違和感の大きさは全体矯正とほとんど変わりません。
かみ合わせの改善が可能か
基本的には奥歯がかみ合わせを左右するため、前歯を対象としている部分矯正では、かみ合わせのズレを改善できません。かみ合わせのズレは見た目には影響しないと思いがちですが、筋肉の負担のバランスが崩れることで顔が左右非対称になりやすく、首や肩のコリ・痛みなどにつながることも多いため注意が必要です。かみ合わせに問題がみられる場合は、全体矯正をご選択ください。
対象症例の多さ
治療範囲が狭い部分矯正は、対象症例がそこまで多くありません。患者様自身が前歯だけ治せばいいと思っていても、実際は全体矯正のほうが適切な場合もあります。自己判断で済ませずに、まずは歯科医院へ相談してみることをおすすめします。
無理に部分矯正をおこなうとどうなる?
歯並びや顎骨の状態によっては、部分矯正が適切でない場合もあります。無理に部分矯正をおこなうと以下のトラブルにつながる可能性があるため、注意しましょう。
出っ歯や受け口のリスクが上がる
抜歯が必要なケースを無理に非抜歯で行うと、前歯を出してスペースを確保するため、出っ歯や受け口になる可能性があります。抜歯が必要なケースは部分矯正の対象外であることを覚えておきましょう。もともと出っ歯や受け口だった場合は、さらに悪化する恐れがあります。
かみ合わせが悪くなる
前歯のズレがあったことで全体のかみ合わせのバランスが取れていた場合、前歯だけを治すとかみ合わせが崩れる傾向にあります。一部の歯にヒビや破折といったトラブルがおこりやすくなったり、顎関節症のリスクも上がるため注意しなくてはいけません。見た目だけでなく全体の噛み合わせのバランスも考慮して、治療法を選択することが大切です。
後戻りがおこりやすくなる
歯を無理に並べるとその分余計な力が歯にかかるため、安定するまでに通常よりも時間がかかります。後戻りがおこって以前より悪くなる可能性もゼロではありません。カウンセリングや精密検査を受けて部分矯正ではなく全体矯正をすすめられた場合は、そのとおりにするほうが満足のいく結果につながるでしょう。
部分矯正での治療が難しいケースとは
以下のケースでは、基本的に部分矯正よりも全体矯正のほうが向いています。
抜歯が必要なケース
矯正治療で抜歯が必要になった場合、基本的に4番目もしくは5番目の歯が対象です。部分矯正の治療範囲外の歯であり、かつスペースを閉じるには前歯と奥歯を引き合わせる必要があるため、全体矯正でしか対応できません。無理に非抜歯で治療をすすめると、前歯を前方に出してスペースを確保することになり、その結果審美性が下がる可能性があります。
重度の出っ歯・受け口・叢生
重度の出っ歯や受け口、叢生は、ほぼ確実に抜歯が必要です。無理に部分矯正を行うと、見た目だけでなくかみ合わせも悪くなる可能性があるため、注意しましょう。
かみ合わせに問題がみられるケース
かみ合わせを正すには、奥歯を動かせる全体矯正が必要です。前歯だけ動かしてもかみ合わせはほとんど変わりません。かみ合わせの問題を放置すると、お顔の歪みや首・肩などの痛みやコリにつながりますので、適切な治療を受けて治すことをおすすめします。
顎骨に問題がみられるケース
顎骨に問題がみられるケースでは、全体矯正でもそれだけでは治すのが難しく、外科手術が追加で必要になることも珍しくありません。部分矯正は「軽度の症例」に適しているため、中度や重度の症例での選択はできないことを覚えておきましょう。
適切な治療法を決めるには精密検査が必要
前歯だけが気になっているとしても、実際に調べると部分矯正ではなく全体矯正のほうが最適な場合もあります。仕上がりをよくするには最適な治療法を見つける必要があり、そのためには精密検査が欠かせません。
精密検査では、レントゲン検査や歯型の採取、お顔や口腔内の写真撮影などを行いますが、痛みをともなう内容は一切ありませんのでご安心ください。また、精密検査をしたら必ず治療が必要というわけではないため「今の状態や治療をする場合の細かな費用、治療期間などを把握しておきたい」という場合でも受付は可能です。お気軽にご相談ください。
当院なら部分矯正と全体矯正どちらも受けられます
部分矯正と全体矯正では、メリットやデメリットが大きく異なります。安さや治療期間の短さを重視したい気持ちは分かりますが、無理に部分矯正をすると後悔する可能性もありますので治療法は慎重に選びましょう。
当院では、丁寧なカウンセリングと精密治療で患者様に最適な治療をみつけ、分かりやすい説明と合わせてご提案いたします。部分矯正と全体矯正どちらも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。「費用や治療期間を知ってから治療をするかどうかを決めたい」という方にも精密検査はおすすめです。