投稿日:2022.4.23
LCMをご存知ですか?-正しい知識が矯正成功の鍵-
皆さんこんにちは!
4月も後半がスタートし新生活が落ち着いてきた方も多いのではないでしょうか。
矯正をスタートするうえできっかけやタイミングというのはとても重要になります。
昔から自分の歯並びが気になっている方でも何かきっかけがないと治療を躊躇われる方も多いですので、新生活をきっかけに矯正治療ご検討中の方はスタートしてみるのはいかがでしょうか。
本日は、ご検討中の方もいらっしゃるかもしれない「LCM」についてお話いたします。
「LCM」という言葉、聞いたことや見たことがあるという方はそこまで多くはないかもしれませんが、格安マウスピース矯正(Low Cost Mouthpiece)というとなんとなく知っている方は多いのではないでしょうか。最近CMやSNSの広告でよく見るマウスピース矯正は、ほとんどがこの部類になります。
マウスピース矯正といえば「インビザライン」が有名ですが、2006年に日本でインビザが登場したことをきっかけに価格を抑えた格安マウスピース矯正が続々と開発されました。
インビザラインはLCMに含まれませんが、あまりにも治療期間が短く費用が安いものは怪しいです・・・
LCMのメリット
LCMのメリットは何といっても金額の安さかなと思います。
1枚単位の価格で契約が可能で約2万円程度の治療費から矯正治療がスタートできるので、高い治療費を払ってまで矯正することは考えてないけど、数万程度ならしてみたいという方には願ったり叶ったりの装置ではないでしょうか。ですが、本当に綺麗な歯並びにしたい場合は追加費用が必要になったり治療期間が長くなることがあります。
全体矯正では無く前歯のすき間だけが気になる…という方や、少しだけ叢生(歯の凸凹)があるからそこだけ治療されたい方には向いているかもしれません。
LCMのデメリット
しかし、歯を動かすという事はとても重大な事ですので、金額や手軽さだけで医院を選ぶことは場合によっては危険な事です。
まず、なぜその価格で出来るのか、という事を一度じっくりと考えてみましょう。
- テクノロジーを駆使して中間コストをカットしているから
- 部分矯正しかできないから
- 正規金額ではなくモニター価格だから
- 店舗を持っていない為、家賃や人件費がかからない
上記が全てデメリットであると言い切れるわけではありませんので、ひとつずつどのように治療に影響があるのかをお話いたします。
まず中間コストのカットについては現代のテクノロジーを駆使することで製造過程での手間や人件費を削減できる為、必要最低限の費用で装置を作成することが出来るようになったことで治療の提供価格が安く抑えられます。
また、LCMは基本的に部分矯正のみ取り扱いをしている所が多く、抜歯を伴う矯正などの場合はLCMでの治療自体が難しいことがあります。仮に見た目だけ改善できればいいと
無理に部分矯正で治療を行ったとしてもかみ合わせが合っていなかったり、後戻りのリスクが大きくなったりします。
矯正治療は見た目の改善はもちろんですが、かみ合わせがとても重要です!LCMではかみ合わせが改善できない場合がほとんどです。
そのため、治療期間が短く費用を抑えられるという仕組みです。
そして、LCMは最近開発されたものが多くあるので、症例写真を集める為にモニター価格で正規金額から何割か安く提供していることで価格が抑えられている面があります。
更に店舗を持たないことで家賃や人件費を抑えている所もあります。
店舗がないことで家賃や人件費が抑えられるので確かに提供価格は下がりますが、急なトラブルには対応が難しくなります。例えば、矯正治療中は歯が動く痛みがありますが、それは本当に歯が動く事で生じる痛みなのか、あるいは虫歯によって生じている痛みなのかは実際に口腔内を診てみないと分からないです。店舗を持たないところにはこのような診療は難しいのが大きなデメリットのうちの一つと言えます。
また、矯正はいつでも自己判断で終了していいわけではありません。
見た目が改善されて、ご本人のお悩みが解消されたからといってそれで終了というわけはありません。医師の目から見てみるとかみ合わせがまだまだだったり、正中がずれている、まだすき間が残っているなど治療が必要な場合がほとんどです。その判断をLCMの場合自己判断になってしまうことが一番懸念されます。
矯正治療は医療行為です。気軽に始めるものではありませんし、しっかり医師の診断を受け、きちんと治療が終わるまで医師の指示に従って治療を行いましょう。
まとめ
LCMは一見、最先端のシステムを利用した画期的なものにも見えますが、矯正とは非常に複雑な治療ですので同じような歯並びだから同じ治療をすればいいという訳ではありません。見た目は同じでも骨の状態が違う事や、年齢・生活習慣なども治療には影響します。その為一人一人にあった治療計画を確立することが非常に重要になります。その反面、歯科治療の世界でもデジタル化は確かに進んでおり、効率的に治療を進めていくことが可能になったことも事実です。最先端のシステムを活かしつつ、しっかりと医師の目でも治療の進みをチェックできる環境があるか、検討材料の一つに加えて頂けますと治療成功に繋がります。
当院でもLCMをしていたがきれいにならなかった。後戻りが気になる。などの理由で再治療を希望されてカウンセリングに来られるかたもいらっしゃいます。
矯正治療は何度も行うものではありませんし、費用も安くはありませんので治療を始める際の病院選びは慎重に行いましょう!
カウンセリングなどを通してご自身に合った医院探しをしていきましょう!